ブレーデル(その他表記)Willi Bredel

改訂新版 世界大百科事典 「ブレーデル」の意味・わかりやすい解説

ブレーデル
Willi Bredel
生没年:1901-64

ドイツの作家。労働者の息子としてハンブルクに生まれ,旋盤工となる。1917年スパルタクス団に加入,19年ドイツ共産党入党。23年ハンブルクの労働者蜂起に参加して2年の禁固刑を宣告されたが特赦となり海外へ出る。28年もとの旋盤工にもどるが解雇され,《ハンブルク民衆新聞》の編集者となる。同年プロレタリア作家同盟に加入。30年〈国家反逆罪〉で2年間の禁固刑を受ける。33年フールスビュッテルのナチス強制収容所に収監され13ヵ月在所。のちプラハを経てモスクワ亡命しフォイヒトワンガー,ブレヒトと共に文芸雑誌ウォルト》を発行。37-39年スペイン戦争に国際義勇軍の将校として参加した後,モスクワに帰り反ファシズム抵抗運動をつづけた。45年ドイツへ帰国し,文化活動を通じて東ドイツの民主的再建につくす。《試練》(1935)は強制収容所の実態をはじめて暴露した小説で17ヵ国語に翻訳された。ほかにスペイン戦争の体験を描いた《エブロ河畔の出会い》(1939),《親戚知人》三部作(1943-53)などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブレーデル」の意味・わかりやすい解説

ブレーデル
ぶれーでる
Willi Bredel
(1901―1964)

ドイツの小説家。たばこ労働者の息子としてハンブルクに生まれる。小学校を卒業して旋盤見習工となり、16歳のとき共産党に入党。獄中で『機械工場N&K』(1930)を書き作家となる。ナチス時代は強制収容所に入れられたがソ連に亡命、自伝的三部作『親戚(しんせき)と知人たち』(1943~53)の第一部を書く。第二次世界大戦後に帰国して第二部、第三部を書き続け、雑誌の編集長をしたりして、国民賞など多くの賞に輝いた。労働者作家として名高い。

上野 修]

『高山洋吉訳『エルンスト・テールマン』(1972・刀江書院)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブレーデル」の意味・わかりやすい解説

ブレーデル
Bredel, Willi

[生]1901.5.2. ハンブルク
[没]1964.10.27. 東ベルリン(現ベルリン)
ドイツの小説家。造船所工員となり,1923年共産党に入党,以後投獄と亡命を繰返し,獄中でいくつかの小説を書いた。ナチス登場後,一時強制収容所に入れられた。亡命中,雑誌『言葉』 Das Wortをブレヒトらと発行。スペイン内乱にも参加。第2次世界大戦後は東ドイツで活躍。労働者の家族を描いた3部作『親族と知人』 Verwandte und Bekannte (1948~53) が代表作。

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