プジャード運動(読み)ぷじゃーどうんどう(英語表記)Mouvement Poujade

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プジャード運動」の意味・わかりやすい解説

プジャード運動
ぷじゃーどうんどう
Mouvement Poujade

1950年代フランスにおこった政治運動。フランス南西部のロート県にある一郡庁所在都市サン・セレで書籍・文房具店を開いていたピエール・プジャードPierre Poujade(1920―2003)が、この地方の反税闘争を契機に1953年7月22日に組織した営業防衛独立組合(同11月29日に商人・職人防衛連合Union de Défence des Commerçants et Artisans〈略称UDCA〉と改称)が南仏を中心に展開したもの。当初、零細経営の商工業者の防御的反税闘争として出発して勢力を拡大し、1956年の総選挙では247万余の票(11.6%)を集めて51議席(544議席中)を獲得したが、この運動から共産党が離反して非難を始めたころからしだいに極右的な政治運動の色彩を帯び始めた。指導者のプジャードの父親が極右政治組織のアクシオン・フランセーズに加わったことがあり、彼自身かつてファシズムのドリオ運動の活動家であったことがわかり、またこの運動が反ユダヤ主義的傾向をもち、アルジェリア独立に反対してドゴール派とも対立するに至った。しかしドゴールを支持するか否かをめぐって、これに反対するプジャードと賛成する国会議員団が対立・分裂して、この運動は急速に衰退し、1958年11月の総選挙では全議席を失った。

[横山謙一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プジャード運動」の意味・わかりやすい解説

プジャード運動
プジャードうんどう
Poujadisme

1953年フランス中南部のロート県サンセレの一文具書籍商 P.プジャードが中小商工業者の政治的不満を背景に起した反議会主義的極右運動。中小商工業者の税負担が不公平であると主張,税の不払いを呼びかけた。 54年には全国的レベルで商工業者防衛同盟 UDCAが結成され,56年の下院選挙で,当選 52名,有効投票数の 12.5% (250万票) を得て一躍国政の舞台におどり出た。中小商工業者,農民,その他の近代化に取残された階層や後進地域の不満を吸上げた結果であった。しかし,まもなく UDCA議員の内部分裂,58年の下院選挙での敗北により衰退し,一時はファシズムの到来と騒がれたこの運動も一時的現象にとどまった。

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