商品、企業名、商業施設、ホテル、観光地などをテレビ番組や映画、漫画、ゲームソフト中にさりげなく登場させる間接広告手法。企業がテレビ番組や映画などの制作者に広告費を払い、作品中に露出させることで、不特定多数の消費者に自然なかたちでPRする。英語の頭文字をとってPP、PPMとよばれることもある。1950年代に、アメリカのハリウッド映画界が民間メーカーと組んで始めたとされるが、初期はタイアップ企画にとどまっていた。本格的にプロダクト・プレースメントの手法を取り入れたのは映画「E.T.」(1982)で、作中に登場したアメリカのリース社製の菓子が爆発的に売れたことから、以降、専門の広告代理店が現われ、料金体系も整備されるなど広告ビジネスとして定着した。プロダクト・プレースメントを規制していたヨーロッパ連合(EU)も、2007年の「国境を越える視聴覚メディア指令」で原則禁止としながらも、プロダクト・プレースメントであることが明確に認識できる場合にのみ認めた。2009年から2011年にかけてヨーロッパ各国はテレビ番組などの冒頭でプロダクト・プレースメント広告が入る旨のメッセージを流す、ニュース番組や子供向け番組には許可しないという共通ルールを採用した。また、欧米では映画やドラマ制作費の一部をプロダクト・プレースメントで企業から調達する手法が定着している。アメリカの調査会社PQメディア社によると、2012年の世界のプロダクト・プレースメントの市場規模は82億5000万ドルで、毎年10%以上の伸びを続けているとされる。
日本でも、テレビ録画機でCMを飛ばして再生できるスキップ機能の普及で、番組の間に流す従来型CMの効果が低下し、消費者に自然なかたちで受け入れられる新手法としてプロダクト・プレースメントが注目されている。従来のCMと違って、視聴者にとって押し付けられたという印象が少なく、登場した商品がネットやツイッター上で話題になるなど、ウェブとの親和性も高い。コンテンツのデジタル加工が容易になり、商品や企業ロゴなどを作品中に登場させやすくなったことも、プロダクト・プレースメントの普及を後押ししている。一方、プロダクト・プレースメントには、映像が潜在意識に働きかけて子供たちを感化してしまう懸念があるほか、広告主の意向が作品づくりを大きく左右してしまうといった批判もある。日本にはプロダクト・プレースメントに関する規制はない。
[編集部]
出典 (株)トライベック・ブランド戦略研究所ブランド用語集について 情報
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