潜在意識(読み)センザイイシキ

  • subconsciousness

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

意識に現れない観念のあることを示そうとする用語。経験的事実として意識できない心的現象ないしは通常の意識とは趣(おもむき)の異なる心的現象が存在することは、無意識の存在に反対する研究者も認めないわけにはいかない。そうした現象の存在をさすために下意識とか潜在意識という用語が使われた。この意味では精神分析の無意識の概念に類似している。フロイト自身もごく初期に潜在意識を無意識と同じような意味で使ったこともあるが、無意識という概念が明確になるにつれて、潜在意識という用語を捨てた。潜在意識という用語には、顕在していないかもしれないが状況のいかんによっては意識化されるという意味が含まれるが、無意識という概念では、絶対に意識化されないものとしての無意識が考えられる。意識化されるものは前意識とよばれる。潜在意識という考え方には、意識を中心にして心理を考えようとする傾向があるが、無意識の考え方では、意識心理学を批判し否定しようとするところがある。

[外林大作・川幡政道]

『下条信輔著『サブリミナル・マインド――潜在的人間観のゆくえ』(中公新書)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 自覚されることなく活動する意識。また、意識内での強い禁止によって自覚面に現われることができない意識。半意識。〔英独仏和哲学字彙(1912)〕
※生れ出づる悩み(1918)〈有島武郎〉二「潜在意識の奥底に隠れて仕舞はうとしてゐたのだ」

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四字熟語を知る辞典の解説

自覚されることなく活動する意識。また、意識内での強い禁止によって自覚面に現れることができない意識。

[使用例] 私の意識のしきいを踏み越えて、潜在意識の奥底に隠れてしまおうとしていたのだ[有島武郎*生れ出づる悩み|1918]

[使用例] 私の潜在意識の中に、最も幸福な思い出としてあの頃が残っているのかもしれない[瀬戸内晴美*遠い声|1970]

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