プロビデンス(読み)ぷろびでんす(英語表記)Providence

翻訳|Providence

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロビデンス」の意味・わかりやすい解説

プロビデンス
ぷろびでんす
Providence

アメリカ合衆国、ロード・アイランド州北部、ナラガンセット湾に面する同州最大の都市で、州都人口17万3618(2000)。ニュー・イングランド地方第三の良港を有し、商工業教育・文化の中心として重要な役割を果たしている。とくに工業の発達は目覚ましく、古くから指輪ネックレスなどの貴金属装身具や銀器の町として広く知られており、電気、機械、ゴム、電子機器、印刷・出版など1000近い各種企業が市域に集中する。1636年にマサチューセッツ植民地からロジャー・ウィリアムズが宗教的自由を求めて移住して町を建設し、彼の同調者が次々に加わり、44年プロビデンス植民地設置の許可を得た。当初は農業主体として発展したが、18世紀には外国、とくに西インド諸島との交易の中心となり、19世紀に入ると繊維工業の発達が顕著となった。1832年には市制を敷き、人口も1890年には州の3分の1を占める13万2146に上った。1854年以来ニューポートと連合州都を形成していたが、1900年には単独で州都の地位を確保した。工業とともに古くから教育を重視し、アイビー・リーグの一つであるブラウン大学(1764創立)や、ロード・アイランド大学(1854創立)など多くの大学や、ジョン・カーター・ブラウン図書館などの広く名の知れた文化・教育施設が少なくない。旧マーケット・ハウスや旧議事堂など、植民地時代の多くの古い建造物が近代的ビル調和を保ち、水泳ゴルフスキーヨットなどが楽しめるレクリエーション地域や施設も周囲に多く点在する。

[作野和世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロビデンス」の意味・わかりやすい解説

プロビデンス
Providence

アメリカ合衆国,ロードアイランド州の州都。プロビデンス川に沿い,ナラガンセット湾奥に位置する。プリマス植民地から追放された R.ウィリアムズらが,宗教的,政治的自由を求めて入植。 1680年埠頭が建設され西インド諸島,アフリカ,インド,中国との貿易港として発展。 1790年にはアメリカ最初の綿織物工場が創設され,毛織物工業も発達した。さらに 1850年以降は宝石加工業が興り,現在もアメリカ最大の宝石加工地。ほかに機械,金属,ゴム,電子工業も行われる。アメリカで最も古い都市の一つで,史跡が多い。最初の織物工場は現在博物館。 1801年以前の文献を多数所蔵するブラウン大学 (1764創立) ,古い家具,乗物を集めているロードアイランド工芸大学 (1877) がある。人口 17万8042(2010)。

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