ベコー(読み)べこー(英語表記)Gilbert Bécaud

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベコー」の意味・わかりやすい解説

ベコー
べこー
Gilbert Bécaud
(1927―2001)

フランスシャンソン歌手、作曲家。本名フランソワ・シリーFrançois Silly。南フランスのトゥーロンに生まれ、ニース音楽院を卒業後パリに出て、ナイトクラブピアニストをしながら映画音楽やシャンソンを書き始める。やがてエディットピアフに認められ、彼女のために書いた『あなたに首ったけ』(1952)がヒットし、作曲家としての地位を確立した。またこのころからベコーの名で歌うようになり、ジャズのフィーリングをもったリズム感、ダイナミックな歌唱ショーマンシップにあふれた舞台などで人気を集めるようになった。1963年(昭和38)の初来日以来、十数回にわたり来日。日本にも多くのファンがいる。74年レジオン・ドヌール勲章受章。生涯に約400曲のシャンソンを作曲し、代表的な作品、歌唱に『十字架』『詩人が亡くなった日』『メケ・メケ』『そして今は』『ナタリー』『雨の降る日』などがある。1998年の『モン・カップ(私の進む道)』が最後の作品。99年にはパリ・オランピア劇場での33回目の公演を行った。

[田井竜一]

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改訂新版 世界大百科事典 「ベコー」の意味・わかりやすい解説

ベコー
Gilbert Bécaud
生没年:1927-2001

フランスのシャンソン歌手,作曲家。本名フランソア・シリーFrançois Silly。南フランスのトゥーロンに生まれ,ニース音楽院でピアノを学んだのち作曲と歌を始める。1950年代初期のアメリカのポピュラー・ソングに強い影響を受け,54年,パリのオランピアの公演で,リズムを強調した自作の歌とエネルギッシュな唱法により聴衆をマス・ヒステリー状態にたたき込んだ。〈ムッシュー10万ボルト〉のニックネームをつけられ,若い世代を代表する歌手となった。しかし,ロックの世界的流行以後は,むしろ中流階級の穏健性・保守性を体現する作風を取っている。61年の作品《そして今はEt Maintenant》が5年後に国際的なヒットを見,活躍の場をアメリカにも広げた。日本にも63年以来,たびたび来演している。作品にシャンソンのほか,カンタータ《星を持つ子供L'Enfant à l'Étoile》,歌劇《アラン島のオペラOpéra d'Aran》がある。
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百科事典マイペディア 「ベコー」の意味・わかりやすい解説

ベコー

フランスのシャンソン歌手・俳優。本名フランソワ・ジルベール・シリー。トゥーロン生れ。ニース地方音楽院卒業。1961年に発表した《そして今は》は自らの作曲で,フランス最大のシングル・ヒットの一つといわれ,スタンダードナンバーになっている。イブモンタン,シャルル・アズナブールらと並ぶシャンソン界の〈帝王〉で,ダイナミックな歌唱力で日本でも人気があった。その他のヒット曲として《ナタリー》《詩人が死んだ時》などがある。水玉ネクタイを好んで着けていたことでも知られる。

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