日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベスレヘム・スチール」の意味・わかりやすい解説
ベスレヘム・スチール
べすれへむすちーる
Bethlehem Steel Corp.
アメリカの主要鉄鋼メーカーの一つ。2001年に倒産し、世界的な業界再編を経て、現在はアルセロール・ミッタル。
ベスレヘム・スチールは1919年デラウェア州法人として設立された。1936年に同社の持株会社ベスレヘム・スチール・コーポレーション(ニュー・ジャージー州)と完全所有の子会社3社を合併している。持株会社ベスレヘム・スチール・コーポレーションは、1904年ユナイテッド・ステーツ・シップビルディングの継承会社として設立され、ベスレヘム・スチール、ハーラン・アンド・ホリングスワースはじめ9社の全株式を取得した。1980年代以降、鉄鋼業界不振のなかで、同社の業績も伸びず、1985年10月には、1939年以来初めて無配に転落した。
ベスレヘム・スチールは三つの中軸的な鉄鋼生産部門からなっていた。第一は、自動車、建設機器、機械市場向け鋼生産の部門。第二に、主として建設業、コンテナ市場向けの金属建材、屋根材や機械向けの薄板製品を生産する部門。第三は、電気炉や高度な技術を使用した高品質の鋼生産を行う部門である。1996年、同社は不振部門整理のため、非鉄鋼のコークス部門の閉鎖、構造材製品部門の売却などを決定し、負債を縮小させた。また、開発途上国からの安価な鋼輸入に対抗して、1998年には北アメリカきっての鋼板メーカーであるルーケンズLukens Inc.と合併し、その強化を図った。1999年の売上げは39億1500万ドル、欠損は1億8300万ドルであった。2001年に倒産。その後、アメリカの大手鉄鋼メーカーであるインターナショナル・スチール・グループInternational Steel Group(ISG)に買収され、さらにISGは2005年にミッタル・スチールMittal Steel(現アルセロール・ミッタル)に買収された。
[佐藤定幸・萩原伸次郎]