ベニゴウカン(その他表記)Calliandra eriophylla Benth.

改訂新版 世界大百科事典 「ベニゴウカン」の意味・わかりやすい解説

ベニゴウカン (紅合歓)
Calliandra eriophylla Benth.

メキシコ原産のマメ科の常緑低木ヒゴウカン緋合歓)ともいう。深紅色で線状の長いおしべが多数,かたまってついた頭花には繊細な,独特な美しさがあり,温室用花物や鉢物として観賞される。また熱帯では庭木として植えられている。高さ2mくらいになり,葉は2回羽状複葉で羽片は4~5対あり,多数の小葉がそれにつく。花冠は小さく赤色,漏斗状で先が深く5裂しており,おしべは20本くらいで,花の外に長く伸び出す。先に小さな葯がつく。花は多数集まって頭状花をなし,はけのように見える。日本では花期は5月から10月くらいまでである。繁殖挿木による。性質は強健で育てやすく,用土はとくに選ばないが,排水のよい土が適する。鉢作りの場合は摘芯すれば,丈は低くでき,枝数も多くなる。戸外では越冬しないので,冬季は加温が必要である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベニゴウカン」の意味・わかりやすい解説

ベニゴウカン
べにごうかん / 紅合歓
[学] Calliandra eriophylla Benth.

マメ科(APG分類:マメ科)カリアンドラ属の低木。ネムノキ合歓)を小さくした形状で、葉腋(ようえき)に頭状花序をつける。小花は花被(かひ)片は目だたず、約20本の赤色の雄しべが長く伸びる。名は、花がネムノキに似ており、より赤いことにより、またヒゴウカン、ヒネム(緋合歓)ともいう。アメリカ南部、メキシコ原産で、日本には明治初年に渡来した。

 カリアンドラ属はアジア、アメリカの温帯から熱帯、マダガスカル島に100種以上分布する。オオベニゴウカン(アカバナブラッシマメ)C. haematocephala Hassk.は緋赤(ひせき)色の大輪花を球状につける。繁殖は挿木による。

[高林成年 2019年11月20日]

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百科事典マイペディア 「ベニゴウカン」の意味・わかりやすい解説

ベニゴウカン(紅合歓)【ベニゴウカン】

ヒゴウカンとも。メキシコ原産のマメ科の常緑小低木。観賞用に鉢植栽培される。ネムノキに似ているが,全体に小柄。花は半球形状でおしべが目立ち,輝くような緋色。熱帯では庭木にされ,2〜3mに達する。開花期は6〜7月。10℃内外の低温室で越冬させ,実生(みしょう)または挿木でふやす。

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