ベリリウム銅(読み)べりりうむどう(英語表記)beryllium copper

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベリリウム銅」の意味・わかりやすい解説

ベリリウム銅
べりりうむどう
beryllium copper

銅にベリリウムを加えたものを主体とする合金。昔はベリリウム青銅といったこともあるが、スズは普通加えず、コバルトを加えることが多い。ベリリウムを2重量%近辺入れた合金を800℃付近で溶体化して焼き入れたのち若干の塑性加工を加え、300℃台の前半に加熱すると著しく硬化し、昔からの銅合金に類をみない130キログラム/平方ミリメートル台の引張り強さをもつということを利用する高力合金と、0.5重量%近辺のベリリウムに抑えても得られる程度の硬化にとどめ、銀などを加えて高力高電導合金とする低ベリリウム合金とに大別され、各種の変種がある。また高力型でも本来の熱処理のほかに、素材製造者が行っておき、使用者は成形加工のみですませるミルハードン材も近年つくられている。鋳造品もあり、海底ケーブル部品、プラスチック成形金型、防爆工具などに使われる。

[三島良續]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベリリウム銅」の意味・わかりやすい解説

ベリリウム銅
ベリリウムどう
beryllium copper

銅にベリリウム Be を添加すると強力で特に弾性に富み,耐摩耐食性のよい性質を示す。 Be 添加量は通常1~2.5%である。この合金の特徴は顕著な時効硬化性で,800℃付近から焼入れ後 270~350℃を1~3時間時効処理をすると,CuBe の微細な析出により硬化する。よく処理された合金は原材の引張り強さ 588MPaに対し 1320MPa程度まで増強する。実用合金は 1.6~2.0%のほか,ニッケル,コバルト,鉄を少量含む。弾性がよいので各種機器のばね (特に電気機器) ,時計用歯車,電気回路用コネクタなどに用いられる。

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