大学事典 の解説
ベルリン・フンボルト大学[ドイツ]
ベルリン・フンボルトだいがく
ベルリンに位置する州立総合大学で,医学,法学,生命科学,数学・自然科学,哲学,文学,文化社会教育,神学,経済学の9学部から構成される。フンボルト大学ベルリン(ドイツ)とも称される。第2次世界大戦前はベルリン大学(ドイツ)(正称は,創設時のプロイセン国王の名前を冠してフリードリヒ・ヴィルヘルム大学(ドイツ)),戦後は東ベルリンにあったため東ドイツの大学となり,フンボルト大学(ドイツ)と呼ばれるようになった(1949年から)。西ベルリンには,共産主義の大学に反発する人々によってベルリン自由大学(ドイツ)が新たに設立された。東西ドイツの統一(1990年)にともない現在名となる。
ナポレオン戦争に敗北したプロイセンは領内にあったハレ大学を失ったこともあり,新たな人材養成の高等教育機関を必要とし,1810年に新人文主義の代表的思想家で政治家でもあったフンボルトの主導によって創設された。創設時は法学,医学,哲学,神学の4学部。近代大学のモデルである「フンボルトモデル」の発祥地として知られる。19世紀末には文部官僚アルトホーフの手腕もあり,著名な研究者を数多く招聘し名実ともにドイツを代表する大学に躍り出た。1889年,ベルリン自然史博物館が開館。20世紀初頭,学生数ではパリ大学に次いでヨーロッパ第2の大学であり,他大学に大きな影響を与えた。細菌学者のロベルト・コッホなど29人のノーベル賞受賞者を輩出している(2016年現在。ただし,そのほとんどは第2次大戦前である)。近年「エリート大学」の選抜と言われているエクセレンス・イニシアティブ(連邦政府の大学研究支援プログラム)に採択されるなど,研究活動も活発である。ベルリン自由大学との連携も強めている。現在(2017年),教授424人,研究員3551人,学生3万2500人(留学生5200人を含む)を擁する。
著者: 山本隆太
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報