改訂新版 世界大百科事典 「ベローフ」の意味・わかりやすい解説
ベローフ
Vasilii Ivanovich Belov
生没年:1932-
ロシアの作家。北ロシアのボログダ地方の農家に生まれ,1961年に詩集と中編小説《ベルジャイカ村》で作家として出発した。67年に,善良で平凡な農民イワン・アフリカーノビチとその妻を中心にコルホーズの日常を飾りけなく描いた中編《いつものことさ》を発表して注目された。その他にも多くのすぐれた中・短編があるが,いずれも故郷の自然の美しい描写をまじえ,そこに住む人びとの心のひだを描き分けている点に特徴がある。農業集団化直前の時期の農民を題材とした長編《前夜》(1972-76),農村の自然と習俗の記録《調和》(1979-81)のほか,数編の戯曲もある。81年にソビエト連邦国家賞を受賞した。
執筆者:中村 喜和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報