改訂新版 世界大百科事典 「ペラダン」の意味・わかりやすい解説
ペラダン
Joséphin Péladan
生没年:1859-1918
フランスの作家,神秘思想家。本名Joseph Péladan。リヨン生れ。早くから隠秘学(オカルティズム)の研究に従事。〈シャー〉(ペルシア語で〈王〉の意)を自称する。1892年に,〈薔薇十字サロンSalon de la Rose-Croix〉を創設し,象徴派以後の作家,芸術家に影響を与えた。最初の作《至高の悪》(1884)以来,19巻に及ぶ《ラテン民族の凋落》(1885-1907)など数多くの魔術的理論書,小説,芸術批評書,戯曲を残す。神秘とエロティシズムにいろどられ,〈自然主義〉に反発するこれらの著作は,〈デカダンス〉の一典型をなす。またR.ワーグナーに心酔し,その楽劇のフランス語訳を試みている。
執筆者:巖谷 國士
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報