改訂新版 世界大百科事典 「ホガエリガヤ」の意味・わかりやすい解説
ホガエリガヤ
Brylkinia caudata (Munro) F.Schm.(=B.schmidtii Ohwi)
亜高山帯の針葉樹林下にややまれなイネ科の多年草。細く横にはう地下茎がある。茎は少数本が集まって小さい株をつくり,細く,高さは40~60cm,3,4個の節がある。葉は根生および茎の下部にあり,細い線形で,長さは10~20cm,幅は4~6mm,先はしだいに細く長くとがる。葉鞘(ようしよう)に細毛をしく。花序は5~7月に茎の頂に現れ,直立した単一の総状で,長さ15~20cmの中軸上の片側に15~20個の小穂をつける。小穂は緑色で,やや長い柄があって下方へ傾き,穂体の長さは7~8mmで,長さ1cm弱の芒(のぎ)があり,2個の小型の苞頴(ほうえい)と,3個の花頴をつけ,最上位1個の花頴のみ花をもち,果実が実る。アジアの極東地方の特産種で,千島列島,サハリン,中国の四川省および東北部から日本の北海道,本州,四国,九州に分布している。和名の〈穂反り茅(ほがえりがや)〉は,下に傾いてつく逆になった小穂に由来する。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報