改訂新版 世界大百科事典 「ホジャ」の意味・わかりやすい解説
ホジャ
khwāja[ペルシア]
元来は貴人を意味し,イスラム世界の諸地域で,一般に,先生,師,主人,宦官,大商人などの意で用いられる。トルコ語ではhoca。歴史的用語としては,9~10世紀のサーマーン朝の宮廷ではワジールが大ホジャと呼ばれ,12世紀以降の中央アジアでは,後にナクシュバンディー教団と呼ばれるイスラム神秘主義者たちの一派がホジャ派と呼ばれた。このホジャ派は14世紀以降東トルキスタンにも進出を開始し,17~18世紀にはカシュガルとヤルカンドを本拠に,いわゆるカシュガル・ホジャ家を成立させた。彼らは東チャガタイ・ハーン国の寄進を受けて経済的にも強大となり,その宗教的権威は,ときにハーンの政治的権威を凌駕することすらあったといわれる。17世紀後半にジュンガル王国,18世紀半ばに清朝の支配下に置かれて後もなお宗教的権威を保ち,ヤークーブ・ベクの乱などムスリムの反乱でも重要な役割を演じた。なおインドおよび東アフリカのニザール派のムスリムもホジャと呼ばれる。
執筆者:間野 英二
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