改訂新版 世界大百科事典 「ホブハウス」の意味・わかりやすい解説
ホブハウス
Leonard Trelawney Hobhouse
生没年:1864-1929
イギリス講壇社会学の創始者。哲学者,倫理学者としても名高い。オックスフォード大学で古典学を修め1887年からチューター,その後97年《マンチェスター・ガーディアン》紙主筆,1904年《トリビューン》紙の編集者を経て,07年ロンドン大学社会学教授に就任。翌年,学会誌《Sociological Review》を創刊,イギリス社会学会の中心的人物となる。
ホブハウスは,1880年代のイギリスで最盛期を迎えた思想でしかも経済的搾取と帝国主義的膨張政策を正当化した社会ダーウィニズムをJ.A.ホブソンらとともに厳しく告発する一方,H.スペンサーの個人主義と生物学的進化論を批判して新たな社会進歩の理論を構想した。個人主義的優勝劣敗には集合主義的協調を,また生物学的自然淘汰には合理的知性と愛他主義をもってそれぞれ代替させた。M.ギンズバーグはその高弟。主著に《道徳の進化》(1906),《自由主義》(1911)がある。
執筆者:稲上 毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報