日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホモトピー」の意味・わかりやすい解説
ホモトピー
ほもとぴー
homotopy
ホモトピーは、ホモロジー理論と並んで、組合せおよび代数的トポロジーにおける基本的な概念である。
20世紀初頭にトポロジーの創始者であるポアンカレは、ホモロジー群とともに位相空間の基本群を定めたが、これを一般化したものがホモトピーである。
X、Yが位相空間でx0、y0がそれぞれそれらの一点とする。点x0をy0へ写す(連続)写像fとgがホモトピックであるとは、Xと単位区間との直積空間からYへの連続写像
F:X×[0,1]→Y
が存在して
F(x,0)=f(x), F(x,1)=g(x),
F(x0,t)=y0 0≦t≦1
となることである。ホモトピックの関係で写像を分類した同値類をホモトピー類という。とくにXとしてn次元球面をとるとき、このホモトピー類は群をなし、位相空間Xのn次元ホモトピー群πn(X)とよばれる。n≧2のときこれはアーベル群となり、n=1のときπ1(X)が基本群である。基本群が単位元のみである空間は単連結であるという。n(≧2)次元球面は単連結であるが、円周はπ1(S1)=Z(整数の群)であるので単連結ではない。さらにXもYもn次元球面のとき、すなわちn次元球面のn次元ホモトピー群は、直観的にXがYの上に何回巻き付いているかというようすを示す整数である写像度で与えられる。すなわち
πn(Sn)=Z (整数の加法群)
となる。
[野口 廣]