改訂新版 世界大百科事典 「ホンセイインコ」の意味・わかりやすい解説
ホンセイインコ (本青鸚)
オウム目オウム科ホンセイインコ属Psittaculaの鳥の総称。全長35~50cmの中型のインコ。尾はくさび状で長く,羽色は全体に緑色で,多くの種では顔にだるま様の模様があり,このため一部の種はダルマインコの名をもつ。くちばし(とくに上くちばし)は一般に雄は赤色,雌は黒色だが,一部の種は雌雄とも赤い。アフリカ,インド,中国南部,東南アジアに12種が分布し,森林,二次林,疎林に群れをつくってすみ,くちばしと脚で枝をよじ登り,果実をとって食べる。ときには耕作地帯に現れ,穀物に被害を与えることもある。
アフリカから中国南部まで広い分布域をもつセネガルホンセイP.krameriは全長約40cm,頭部と上面が緑色で,下面は黄緑色である。雄のくび輪は前が黒く,後はばら色をしていて,くび輪の上と後頭が青紫色である。インド産の亜種ワカケホンセイP.k.manillensisはローマ時代から飼育され,物まねのほかに,車引きや車押しなどの芸も覚える。日本にはダルマインコP.alexandri,コセイインコP.cyanocephalaなどが古くから飼鳥として輸入され,ワカケホンセイは飼われていたのが逃げ出したものが野生化して東京近郊で繁殖している。
→インコ
執筆者:齋藤 隆史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報