改訂新版 世界大百科事典 「ホーレン」の意味・わかりやすい解説
ホーレン
Horen
ドイツ古典主義文学の最も重要な月刊文芸雑誌(1795-97)。〈ホーレン〉とは,ギリシア神話の季節と秩序の女神ホーライのドイツ語形。1793年夏故郷シュワーベンを訪ねたシラーは,チュービンゲンの出版者コッタとこの雑誌の出版契約を結んだ。94年イェーナに帰着後ゲーテと決定的な交友関係に入り,その協力を得て発刊に至った。本誌の目的は,〈文学界の消息を伝えその育成を図り,学界の自由な真理の探究と実り多い意見交換のため〉であった。宗教,政治に関係する意図はなかった。ほかにA.W.シュレーゲル,フンボルト兄弟らの協力もあったが,中心的内容はすべてゲーテとシラーのもの。例えばシラーは,多くの思想詩のほか,《人間の美的教育に関する書簡》《素朴文学と感傷文学について》などを,そしてゲーテは,《ローマ悲歌》《ドイツ移民の談話》《メルヘン》などを寄稿した。2人の関係は,シラーの《文芸年鑑》(1796-1800)に引き継がれた。
執筆者:長屋 代蔵
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報