日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボウシュウボラ」の意味・わかりやすい解説
ボウシュウボラ
ぼうしゅうぼら / 房州法螺
Saul's trumpet shell
[学] Charonia sauliae
軟体動物門腹足綱フジツガイ科の巻き貝。房総半島から九州、沖縄までに分布し、潮間帯下の岩礁にすむ。イセエビの刺網などにかかる。殻高22センチメートル、殻径10センチメートルに達する大形種。螺塔(らとう)は高い円錐(えんすい)形で、螺層は11階で殻頂部は紅色。殻表に細い螺肋(らろく)のほかに、結節瘤(りゅう)のある太い螺肋が周縁にあり、体層ではその太い螺肋が8列ある。殻口は大きく卵形。外唇は厚くなって開き、内面は白色。外唇縁で歯状のしわを生じ、そこは黒褐色斑(はん)となる。蓋(ふた)は黒褐色の革質で、核は下方に寄る。軟体の足部は亜方形で黄色く橙(とう)色斑があり、触角の先のほうに黒色の帯がある。肉食性で、ヒトデやウニを食べる。産卵期は12月から翌年2月で、長さ20ミリメートル、幅5.5ミリメートルぐらいの乳頭状の透明な卵嚢(らんのう)を多数産む。この卵嚢はトックリホオズキとよばれる。卵はオレンジ色で、多数入っている。本種の肉は食用とされ、殻は貝細工の材料となる。
[奥谷喬司]