ボーエン病(読み)ぼーえんびょう(その他表記)Bowen Disease

家庭医学館 「ボーエン病」の解説

ぼーえんびょう【ボーエン病 Bowen Disease】

[どんな病気か]
 有棘細胞(ゆうきょくさいぼう)がんのがん細胞増殖が表皮内(ひょうひない)だけにとどまっている表皮内がんです。わずかに隆起した紅褐色病変として気づき、かさぶたができることもあります。いろいろな場所にでき、湿疹(しっしん)とまちがわれることもありますが、かゆみはほとんどありません。
 慢性砒素中毒(まんせいひそちゅうどく)の人にはボーエン病がよくでき、内臓がんをともなうことが知られています。外陰部にできることもありますが、これは特殊なイボウイルスが原因だと考えられています。
[治療]
 ボーエン病は、放置しておくと深くへ侵入することがまれにあるため、病変部を手術で切除します。単発(1か所)の場合は、局所麻酔ですむ手術のことも多く、治療は比較的容易です。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボーエン病」の意味・わかりやすい解説

ボーエン病
ボーエンびょう
Bowen's disease

皮膚に境界鮮明な褐色ないし黒褐色斑が単発あるいは多発する疾患鱗屑あるいは痂皮が付着し,浸潤性で硬く触れ,鱗屑や痂皮をむりに剥離すると紅色びらん面が生じる。病変は随所に生じうるが,躯幹四肢のことが多い。外陰部に生じた場合は境界鮮明,浸潤性のびらん局面になることが多く,臨床症状から紅色肥厚症とも呼ばれる。ボーエン病は表皮内癌性病変であり,これが真皮内に浸潤性に増殖すると,有棘細胞癌 (ボーエン癌) となる。ボーエン病の原因ないし誘因としてヒ素中毒が重視されている。

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世界大百科事典(旧版)内のボーエン病の言及

【皮膚癌】より

…有棘(ゆうきよく)細胞癌と基底細胞癌が代表的なもので,汗腺癌,脂腺癌などはきわめてまれなものである。このほか,癌細胞が表皮内のみにとどまっているものを表皮内癌といい,日光角化症,ボーエン病,乳房ページェット病,外陰部ページェット病がある。中年期以後に発生することが多く,日本人は,白人に比べて,皮膚癌の発生率は低い。…

※「ボーエン病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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