有棘細胞癌(読み)ゆうきょくさいぼうがん(英語表記)squamous cell carcinoma (epithelioma)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有棘細胞癌」の意味・わかりやすい解説

有棘細胞癌
ゆうきょくさいぼうがん
squamous cell carcinoma (epithelioma)

皮膚癌の一つ。臨床的には腫瘍が結節状,潰瘍状あるいは花キャベツ状に増殖し,特有の悪臭を放ち,しばしば所属リンパ節に転移する。顔面,手背などの露出部に生じるほか,ケロイド,瘢痕,放射線皮膚炎,尋常性狼瘡円板状紅斑性狼瘡,いぼ状表皮発育異常症,色素性乾皮症,ウェルナー症候群,外陰萎縮症などの病変を母地として,有棘細胞癌が発生する。また,ボーエン病,老人性角化腫,白板症などの表皮内癌性病変が悪化し,基底膜を破って浸潤性に増殖して有棘細胞癌化する。有棘細胞癌は組織学的には扁平上皮癌と同一で,個々の腫瘍細胞が角化傾向を有する。各腫瘍細胞の異型性および角化傾向の程度により A.ブロダーは1~4度に分類しており,予後は発生部とこの分類による。

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世界大百科事典(旧版)内の有棘細胞癌の言及

【皮膚癌】より

…皮膚を構成する表皮細胞や,汗腺,脂腺,毛包などの皮膚付属器から発生する癌をいう。有棘(ゆうきよく)細胞癌と基底細胞癌が代表的なもので,汗腺癌,脂腺癌などはきわめてまれなものである。このほか,癌細胞が表皮内のみにとどまっているものを表皮内癌といい,日光角化症,ボーエン病,乳房ページェット病,外陰部ページェット病がある。…

※「有棘細胞癌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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