家庭医学館 「有棘細胞がん」の解説
ゆうきょくさいぼうがん【有棘細胞がん Squamous Cell Carcinoma】
暗紅色(あんこうしょく)のかたい結節や潰瘍(かいよう)ができ、表面に汚いかさぶたがついて悪臭がすることもあります。
有棘細胞がんは、いろいろな前がん症から生じることが知られています。たとえば、子どものころのひどいやけどやけがの傷跡、治療のために受けた放射線による皮膚炎の箇所などから生じるのです。
最近は、高齢者の顔面などにみられる日光角化症(にっこうかくかしょう)から生じるものが増えています。また、色素性乾皮症(しきそせいかんぴしょう)という遺伝性疾患や慢性砒素中毒患者(まんせいひそちゅうどくかんじゃ)などにもよくできます。
●自己発見法
このがんは、黒色になることはほとんどありません。治りにくく、しだいに増大するしこりや潰瘍(かいよう)ができたら、皮膚科専門医の診察を受けましょう。
[治療]
有棘細胞がんの悪性度は、メラノーマと基底細胞がんとの中間で、ときにリンパ節などへ転移することがありますが、手術で取りきれればほとんどの場合、完治します。
転移した場合は、化学療法、放射線療法が行なわれます。効果はかなり期待できます。