改訂新版 世界大百科事典 「ボージュ山地」の意味・わかりやすい解説
ボージュ山地 (ボージュさんち)
Vosges
フランス北東部の山地。ライン川沿いのアルザス低地をはさんで,ドイツ領のシュワルツワルト山地と対をなす。ほぼライン川に平行して南北に約120kmの長さでつづき,北はサベルヌ低地帯に面し,南はベルフォール山峡をへだててジュラ山脈に対する。第三紀中頃のライン地溝帯を形成する断層運動に関与して形成された山地で,東側斜面が急傾斜,西側斜面が緩傾斜の非対称の山形を示す。結晶質岩石からなる南部は高ボージュと呼ばれ,山頂高度が高く1000mを超え,バロン・ド・ゲブビレル(標高1424m)が最高峰である。山頂は丸く,球を意味するバロンの名で呼ばれている。北部(低ボージュ)は砂岩質堆積岩からなり,高度も500m以下と低く,東西両斜面の違いが目だたなくなる。同山地は標高1000m付近まで針葉樹におおわれ,林業・酪農が中心産業で,アルザス低地に面する丘陵斜面では,アルザス・ワインとして有名なブドウ栽培が盛んである。
執筆者:米倉 伸之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報