ポカホンタス(読み)ぽかほんたす(英語表記)Pocahontas

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポカホンタス」の意味・わかりやすい解説

ポカホンタス
Pocahontas

[生]1595頃.バージニア,ジェームズタウン付近
[没]1617.3. ケント
アメリカインディアンのポーハタン族族長の娘。別名マトアカ Matoaka。 1607年に建設が開始されたイギリス最初の北アメリカ植民地ジェームズタウンへの入植者の一人でたばこ栽培の改良に成功した J.ロルフと結婚。アメリカ先住民のキリスト教化と植民事業の成功の実例として,バージニア会社の宣伝のため 16年ロルフとともにロンドンに招かれ,アメリカの王女として上流社交界でもてはやされたが,翌 17年帰国を前に病没した。この結婚に象徴される入植者と先住民の平和は 22年のポーハタン族大蜂起によりつかのまに終った。ジェームズタウン建設者の一人 J.スミスはその著作で,ポーハタン族に捕えられ殺されようとしたとき彼女の助命嘆願で救われたてんまつを述べたが,真偽のほどは不明。後世彼女の生涯は小説や戯曲題材とされ「ポカホンタス物語」が作られ神話化された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポカホンタス」の意味・わかりやすい解説

ポカホンタス
ぽかほんたす
Pocahontas
(1595?―1617)

アメリカ植民地建設に貢献した女性として神話化された、バージニアの先住民ポーハタンの首長の娘。1608年捕虜として処刑されかかったイギリスの植民地開拓者キャプテン・ジョン・スミスの命を救ったとされるが、真偽のほどは疑わしい。14年にタバコ栽培の改良に成功したジョン・ロルフと結婚し、16年にバージニア会社の植民事業と、先住民のキリスト教化の成功の宣伝のため夫とともにロンドンに送られ、アメリカの「王女」として歓迎されたが、翌17年春、帰国を前に病死した。この結婚がアメリカ・インディアンと白人の間に一時期「ポカホンタスの平和」をもたらしたとされるが、彼女は実は人質の身であり、結婚も政略的な意味合いが濃く、つくりあげられた友好の「神話」とみられる。

[富田虎男]

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