マイクロエレクトロニクス(読み)まいくろえれくとろにくす(英語表記)micro electronics

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マイクロエレクトロニクス
まいくろえれくとろにくす
micro electronics

極微細な電子部品、配線を用いて電子回路をつくり、利用する技術の総称。超小型電子技術、超微細化技術ともよぶ。第二次世界大戦後、アメリカではミサイルの発達に伴い、電子機器の微細化、軽量化の要求が急速に高まった。このため軍を中心に電子回路を小型化する国家的な計画が進められ、1958年には「電子構成のマイクロミニアチュア化に関するシンポジウム」が開催された。当時、電子管ではミニアチュア管、サブミニアチュア管などによって小型化が達成されていたが、この技術はさらに微小化を目ざすものとしてマイクロミニアチュア電子技術と名づけられ、マイクロエレクトロニクス略称されていた。この略称が広く使われるようになったのは、1963年、ケオンジャンE. Keonjanがこれらの活動をまとめた本を著し、その題名に使用してからである。

 このころのマイクロエレクトロニクスは、トランジスタコイルコンデンサーなどの個別素子をモジュール化したもので、フリップフロップ程度の簡単な機能回路を1センチメートル立方程度にまとめたマイクロモジュールとかコードウッド方式が主流であった。このころ発明された集積回路IC)が電子回路の主流になり、大規模集積回路LSI)が現れるにつれて、マイクロエレクトロニクスのことばはあまり使われなくなっていく。しかし、80年代になると超LSIVLSI)が現れる。5ミリメートル角の半導体基板上に10万を超えるトランジスタが組み込まれるようになり、マイクロメートル単位の線幅の回路およびデバイスの製造技術が必要とされるに至った。こうしてマイクロエレクトロニクスは、名実ともにマイクロな電子技術を表すことばとして復活し、広く利用されてきている。

 実用されている半導体製造技術の最小線幅は、0.5~0.1マイクロメートルで、億を超えるトランジスタが一つのチップに組み込まれるようになったが、研究段階では0.1マイクロメートルを切る技術も確立されつつある。回路描画としては光を利用した描画装置では不足として、電子線を用いたり、X線を用いたものも現れ、さらに高密度の超LSIの実現が進められている。

[岩田倫典]

『垂井康夫著『超LSIへの挑戦』(2000・工業調査会)』『菊地正典・高山洋一郎・鈴木俊一著『半導体ICのすべて』(2000・電波新聞社)』『田丸啓吉・野澤博著『集積回路工学』(1999・共立出版)』

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マイクロエレクトロニクス

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