マイクロ波通信(読み)まいくろはつうしん(英語表記)microwave communication

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイクロ波通信」の意味・わかりやすい解説

マイクロ波通信
まいくろはつうしん
microwave communication

マイクロ波(通常300メガヘルツ~3ギガヘルツのUHF帯と3~30ギガヘルツのSHF帯を含めた電磁波をいう)を利用する通信をいう。マイクロ波は、その周波数短波超短波に比べて高いので、波長が短く、扱いやすい数メートル以下の大きさのアンテナでもかなり鋭い指向特性をもって電波を定められた方向に発射することができる。

 日本は山が多いことから、市外伝送路を作製するのに、マイクロ波を利用することが適している。日本のマイクロ波通信方式は1954年(昭和29)に、アナログ方式として4ギガヘルツ帯のSF-B1方式(伝送容量1システム当り360チャネル)に始まり、その後4ギガヘルツ帯、5ギガヘルツ帯で3600チャネルの方式が実現している。デジタル方式としては、1969年に電話240チャネルを伝送する方式が、2ギガヘルツ帯で実用化された。その後11、15ギガヘルツ帯などに導入されるとともに、高能率な方式が開発され、4、5、6ギガヘルツ帯で、200メガビット/秒(電話2880チャネル)の伝送可能な方式が実用化されてきた。しかし、6ギガヘルツ帯以下の電話網用のマイクロ波通信は、光通信順次とってかわられ、これらの周波数は急速に需要の増加している移動通信などに利用されることになっている。

坪井 了・三木哲也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マイクロ波通信」の意味・わかりやすい解説

マイクロ波通信
マイクロはつうしん
microwave communication

マイクロ波を用いた無線通信。非常に広帯域信号を伝送できるので,テレビや超多重電話などの中継伝送に広く用いられている。マイクロ波は見通し距離内に限られるので約 50kmごとに中継局を設けて増幅中継する。マイクロ波のアンテナにはパラボラアンテナやホーンレフレクタアンテナが用いられ,中継機はほとんど半導体を用いた固体電子化中継機が用いられている。日本のテレビ中継のすべてと,電話の市外回線の約半分はこの通信方式によっている。

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