マクシモス(読み)まくしもす(その他表記)Maximus Confessor

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクシモス」の意味・わかりやすい解説

マクシモス
まくしもす
Maximus Confessor
(580ころ―662)

7世紀最大のキリスト教神学者、神秘家。コンスタンティノープルに生まれ、修道者となった。教皇マルティヌス1世Martinus Ⅰ(在位649~653)と協力して、当時の異端説キリスト単意説と戦った。単意説は、コンスタンティノープル総主教セルギウスSergius Ⅰ(在位610~638)が国家権力の支持を得て主唱したものであるが、結局はカルケドン公会議によって正統教義とされた、神人両性論を骨抜きにする単性説の一種であった。649年マクシモスの尽力により、ラテラン教会会議は単意説を排斥した。この論争との関係から653年彼は皇帝コンスタンス2世Konstans Ⅱ(在位641~668)によって追放され、拷問(ごうもん)のすえ追放の地で殉教した。

[百瀬文晃 2015年2月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「マクシモス」の意味・わかりやすい解説

マクシモス
Maximos
生没年:580ころ-662

ビザンティン期のキリスト教神学者。〈証聖者〉(ギリシア語Homologētēs,ラテン語Confessor)と称される。キリスト単意論と闘い,殉教ともいうべき悲惨な死をとげた。貴族家柄に生まれ,皇帝ヘラクレイオス1世の秘書となったが,615年ころ修道生活に転じた。640年ころから,当時政治的な理由で行われていたキリスト単意論の弾劾にたずさわり,645年にカルタゴで前コンスタンティノープル総主教ピュロスPyrrhosと論争を行った。これをきっかけに西方教会も単意論を異端とした。マクシモスは政治犯として審問にかけられ,舌と右腕を切断され,コーカサスの追放地でまもなく没した。
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