翻訳|council
キリスト教会において、教義、儀式、規律などに関して審議決定するための教会の代表者たちによる教会会議。その規模、構成、権限において一様ではないが、教会史上もっとも重要なのは公会議と称せられる世界的教会会議である。
[小笠原政敏]
教会会議の起源は、「使徒行伝(ぎょうでん)」第15章のエルサレム使徒会議にさかのぼるが、それに倣い2世紀、モンタニズム、復活日問題に関して小アジアで開かれた教会会議がもっとも初期のものとされている。3世紀中ごろ、主教(司教)とその他の代表者たちによる教会会議が制度化され、主教(司教)政治のもっとも重要な機関となった。4世紀になると、公会議がローマ皇帝によって招集され、325年コンスタンティヌス帝がニカイアに招集したのが第1回公会議である((1))。そこではアリウス説を異端としアタナシウス説を正統的信仰と決定し、また長い間の復活日論争に決着がつけられた。
このニカイア公会議から東西教会の分裂(1054)まで7回の公会議が開かれた。いずれもローマ皇帝が招集している。それらの開催地、開催年、主要議題は、(2)コンスタンティノポリス(第1回381・アポリナリオス派異端排斥)、(3)エフェソス(431・ネストリウス派異端排斥)、(4)カルケドン(451・エウテュケス派異端排斥)、(5)コンスタンティノポリス(第2回553・三章論争)、(6)コンスタンティノポリス(第3回680~681・キリスト単意説排斥)、(7)ニカイア(第2回787・聖画像破壊派排斥)である。
以上の7公会議が東西両教会公認の公会議であるが、そのうち第1回から第4回までがとくに重要で、これによって三一論、キリスト論の正統教理が確立された。ニカイア信条、カルケドン信条、アタナシウス信条などが生まれ、使徒信条とともに世界信条と称されている。
[小笠原政敏]
東方正教会、プロテスタント教会とは違って、ローマ教会では、さらに14回を加えて計21回を公会議と称している。それは、中世西ヨーロッパにおける教皇権の伸張とともに教皇主宰の教会会議が重要度を増し、公会議の名のもとに招集されるに至ったからである。1123年のラテラノ(ラテラン)会議がその始まりである。インノケンティウス3世の招集した第4回ラテラノ会議は教皇権の絶頂を示し、教義や規律の刷新をした。中世末期になると、教皇権の衰退分裂とともに公会議の権威の優位性の主張も現れた。しかし16世紀プロテスタント宗教改革に対してローマ教会の教理的立場を明確にしたトリエント公会議を経て、19世紀、教皇首位権を議定し教皇不謬(ふびゅう)性を宣言したバチカン公会議において、教皇権を中心にローマ教会の教義的・組織的確立強化が果たされた。そして20世紀、第2回バチカン公会議は、カトリック信仰の現代世界における意義と役割を論じて画期的公会議となった。
14回の公会議は、(8)コンスタンティノポリス(第4回869~870・フォティオスの罷免)、(9)ラテラノ(第1回1123・任職権論争)、(10)ラテラノ(第2回1139・プレシアのアルノルドゥス問題)、(11)ラテラノ(第3回1179・教皇選挙法)、(12)ラテラノ(第4回1215・教会刷新、十字軍)、(13)リヨン(第1回1245・フリードリヒ2世の破門)、(14)リヨン(第2回1274・東西教会合同)、(15)ビエンヌ(1311~12・テンプル騎士団の禁止)、(16)コンスタンツ(1414~18・教皇権分裂の終結、フス排斥)、(17)バーゼル、フェラス、フィレンツェ(1431~45・東西教会合同、教会改革)、(18)ラテラノ(第5回1512~17・教会改革)、(19)トリエント(1545~63・プロテスタント問題、教会改革)、(20)バチカン(第1回1869~70・教皇首位権、教皇不謬性)、(21)バチカン(第2回1962~63・教会一致、典礼、組織、規律の改正、社会倫理)である。
現在ローマ教会法は、公会議の招集は教皇とし、教皇ないしその代理者が司会し、論題は教皇の承認を必要とする。議員は聖職者、すなわち枢機卿(すうききょう)、大司教、司教、大修道院長、免属高位聖職等々によって構成され、議決は教皇の承認を得て初めて教会的権威をもつ。教皇死亡の場合には新教皇が再招集するまで停会となるとしている。
なお、プロテスタント宗教改革は教皇権、教会会議の権威に対して聖書の権威を主張したが、教会政治を重んじ、とくにスイス宗教改革の伝統にたつ諸教会においては、長老制度を教会政治の根幹としている。
[小笠原政敏]
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