マクロ経済スライド(読み)まくろけいざいすらいど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクロ経済スライド」の意味・わかりやすい解説

マクロ経済スライド
まくろけいざいすらいど

公的年金の支給額を決める際、年金に加入する現役世代の減少や、受給者の長寿命化などを反映させること。従来物価賃金動向を反映させて支給額を決めてきたが(物価スライド)、少子高齢化の進展(現役世代の減少、高齢者の長寿命化)により、この方式だけでは対応しきれなくなった。そこで現役世代と受給世代のバランスを確保するためのマクロ的な仕組みとして、2004年(平成16)の年金制度改正で、給付水準抑制のために導入された。具体的には、賃金や物価の伸びからスライド調整率を差し引くことで計算される。少なくとも5年に1度のペースで給付水準を検証し、スライド調整率を決定する。ただし、賃金や物価の伸びがない、いわゆるデフレ経済下ではマクロ経済スライドは適用せず、特例水準での年金支給を続ける。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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