改訂新版 世界大百科事典 「マドガイ」の意味・わかりやすい解説
マドガイ (窓貝)
window shell
Placuna placenta
マドガイ科の二枚貝。殻は円形で左右にはなはだ扁平。殻の長さ9.5cm,高さ10cm,膨らみ0.7cmに達する。銀白色で半透明,表面に微細な放射状のすじがある。左殻は弱く膨らみ,右殻はとくに扁平である。内面の殻頂の下に八字形のかみ合せがあり,また中央近くには大きく円い貝柱の付着痕がある。台湾より南の太平洋やインド洋に広く分布し,浅海の砂底にすむ。扁平な右殻の殻表を磨いていっそう透明度をよくしこれを障子紙のようにはめて窓に用いたので窓貝の名があり,中国では古くから利用された。フィリピンに多く,当地ではこの殻の細工が盛んで,殻を連ねてのれんや風鈴などをつくる。近縁種のクラマドガイP.ephippiumはこの種に似ているが,殻は紫褐色で鞍(くら)のように湾曲している。同じく西太平洋,インド洋に分布する。
執筆者:波部 忠重
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報