①の挙例「書言字考節用集」のフレウのほか、「伊京集」などの古本節用集ではフウリャウ(リャウは「鈴」の呉音)、「延宝八年合類節用集」では、フリャウ・フウレイ(レイは「鈴」の漢音)・フウリャウ、「日葡辞書」ではフウリョウ・フリョウと読まれている。このように、近世までは読み方がさまざまである。
風鐸(ふうたく)ともいう。鐸とは形が鐘に似て,中央に舌(ぜつ)がつり下げられ,舌の先の錘(すい)が内側を打って音を出すものを指す。風鈴は錘の下に短冊など軽いものを結びつけ,これが風で動かされるときの力を利用して鐸を打たせるしくみになっているので,名称としては風鐸がふさわしい。起源は中国の仏堂や塔に下げられた風鐸にあり,日本の風鈴に関する記述は鎌倉時代から見られ,《下学集》の記載からも室町時代には大衆化していたことがうかがえ,軒先につるして涼を音で感じるほか,風鈴蕎麦など風鈴をつるした屋台のそば売りにも用いられた。吊鐘のように鋳物で作られ,南部鉄瓶で有名な盛岡地方の風鈴はよい音で知られる。現代では陶器,ガラスなどでも作られ,形状も多様化した。風鈴は朝鮮半島,インドシナ半島にもあり,ヨーロッパにも類似のウィンド・チャイムなどがある。
執筆者:郡司 すみ
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