風鈴(読み)ふうりん

精選版 日本国語大辞典 「風鈴」の意味・読み・例文・類語

ふう‐りん【風鈴】

〘名〙 (「りん」は「鈴」の唐宋音)
金属・ガラス・陶器製の小さな鐘の形をしたもので、中に風受けの羽、短冊などをつけた舌が下がっており、風に吹かれると快い音を発するもの。風鐸。風琴。ふうりょう。ふりょう。《季・夏》 〔書言字考節用集(1717)〕 〔元稹‐飲致用神麹酒詩〕
※雑俳・川柳評万句合‐天明三(1783)梅二「そじゃう箱かかへふうりん喰て居る」
③ 囲碁で、井目(せいもく)でも勝負にならないために、さらに三々の点に石を置くこと。また、その石。ふつうは四隅に置くが、時には三隅ぐらいにする時もある。転じて、碁の技量が非常に低いこと。〔モダン新用語辞典(1931)〕
④ 役者・寄席芸人などの番付で、中軸(なかじく)両脇をいう。
[語誌]①の挙例「書言字考節用集」のフレウのほか、「伊京集」などの古本節用集ではフウリャウ(リャウは「鈴」の呉音)、「延宝八年合類節用集」では、フリャウ・フウレイ(レイは「鈴」の漢音)・フウリャウ、「日葡辞書」ではフウリョウ・フリョウと読まれている。このように、近世までは読み方がさまざまである。

ふう‐りょう ‥リャウ【風鈴】

〘名〙 (「りょう」は「鈴」の呉音) =ふうりん(風鈴)①〔いろは字(1559)〕

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デジタル大辞泉 「風鈴」の意味・読み・例文・類語

ふう‐りん【風鈴】

金属・陶器・ガラスなどで小さい釣鐘の形に作り、その中の舌に風を受ける羽や短冊をつけた鈴。軒下につるし、鳴る音を楽しむ。 夏》「―の音を点ぜし軒端かな/虚子
置き碁で、井目せいもくの四隅の星に置いた石に添えて、対角線上のすぐ外側三三位置に置く石。

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改訂新版 世界大百科事典 「風鈴」の意味・わかりやすい解説

風鈴 (ふうりん)

風鐸(ふうたく)ともいう。鐸とは形が鐘に似て,中央に舌(ぜつ)がつり下げられ,舌の先の錘(すい)が内側を打って音を出すものを指す。風鈴は錘の下に短冊など軽いものを結びつけ,これが風で動かされるときの力を利用して鐸を打たせるしくみになっているので,名称としては風鐸がふさわしい。起源は中国の仏堂や塔に下げられた風鐸にあり,日本の風鈴に関する記述は鎌倉時代から見られ,《下学集》の記載からも室町時代には大衆化していたことがうかがえ,軒先につるして涼を音で感じるほか,風鈴蕎麦など風鈴をつるした屋台のそば売りにも用いられた。吊鐘のように鋳物で作られ,南部鉄瓶で有名な盛岡地方の風鈴はよい音で知られる。現代では陶器,ガラスなどでも作られ,形状も多様化した。風鈴は朝鮮半島インドシナ半島にもあり,ヨーロッパにも類似ウィンド・チャイムなどがある。
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百科事典マイペディア 「風鈴」の意味・わかりやすい解説

風鈴【ふうりん】

釣鐘形の小さな鈴。舌につけた短冊(たんざく)が風にゆれて鳴る。風鐸(ふうたく),鉄馬(てつば)とも。唐の岐王が竹林に玉片をかけ,その音で風を占い,占風鐸と呼んだという故事は有名。日本では風鈴売りが虫売りとともに江戸時代に親しまれた。また風鈴蕎麦(そば)と称して風鈴をつるした屋台をひく蕎麦屋もあった。現在でも南部鉄やガラス製のものがつくられている。

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普及版 字通 「風鈴」の読み・字形・画数・意味

【風鈴】ふうりん

風鐸。

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