マルク共同体(読み)マルクきょうどうたい

百科事典マイペディア 「マルク共同体」の意味・わかりやすい解説

マルク共同体【マルクきょうどうたい】

ゲルマン社会および中世ドイツ社会の特徴とされる村落共同体原始共産制のあとゲルマン人村落定住とともに生じ,林野や牧草地共同所有総有)し,耕作分担が割り当てられる。その総有地をマルクMarkという。マウラーらが古ゲルマンの共産的遺制と主張した。しかしマルク共同体の存在については論争が多い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルク共同体」の意味・わかりやすい解説

マルク共同体
マルクきょうどうたい
Markgenossenschaft

ゲルマン社会および中世ドイツにおける共同用益地 (森林放牧地,沼沢など) の用益,管理を担当する組織をさす。古ゲルマン社会で,個々の家族に属さず,個々の家族の所属するある定住団体が所有し,その団体成員によって共同に利用される土地をマルクと呼んだ。一つの村落がマルク共同体を形成したり,あるいは数個の村落がマルク共同体を形成していたと考えられている。森林その他の共同地が相対的に狭くなり,その用益統制が必要になった時代に,いろいろな定住団体を主体として形成されたと考えられている。

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世界大百科事典(旧版)内のマルク共同体の言及

【マウラー】より

…のちバイエルンの司法,外交の要職につき枢密院の有力者となった。退官後はもっぱら中世ゲルマン民族の共同体の諸形態に関する研究に努め,とくにマルク共同体Markgenossenschaftの研究に画期的な業績を残した。《ドイツ人の共同体的生活の研究》12巻(1854‐71)がその主著であるが,その第1巻にあたるものが有名な《マルク,ホーフ,村落および都市制度史への序論》であり,原始ゲルマン村落に土地共有制が存在したことを強調した問題作である。…

※「マルク共同体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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