共同地(読み)キョウドウチ(その他表記)common land 英語

デジタル大辞泉 「共同地」の意味・読み・例文・類語

きょうどう‐ち【共同地】

古代中世ヨーロッパの農漁村で、住民放牧伐採狩猟漁労などに共同で利用した土地日本での入会地いりあいちに当たる。

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精選版 日本国語大辞典 「共同地」の意味・読み・例文・類語

きょうどう‐ち【共同地】

  1. 〘 名詞 〙 古代および中世の農村で、農民が放牧、伐採、狩猟、漁労などを共同して行なった土地。ゲルマン人のマルク共産体、イギリス中世のコンモン、日本の入会地(いりあいち)など。共有地

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「共同地」の意味・わかりやすい解説

共同地
きょうどうち
common land 英語
Allmende ドイツ語

一村または数村落の住民が放牧や薪(まき)、草、魚採取などのため共同で利用した林野、池水。入会地(いりあいち)ともいう。古代イタリアなどの都市国家では、国有耕地とは別に、農村部住民が共同地compascuaを共有した。古代ゲルマン人の間では、耕地を含むすべての農牧用地が共同地Markとして共有されたという学説(マルク共同体説)があったが、最近では、林野池水のみが共同地だったとの見解が優勢である。中世・近世西洋荘園(しょうえん)では、共同地は領主と農民共同体との双方による共有地として扱われたが、領主が農民から少額の共同地利用料を徴収した事例もある。フランスでは市民革命期に農民によって共同地が分割され、他の諸国でも近代に入って共同地は解消の傾向をたどった。

[橡川一朗]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「共同地」の意味・わかりやすい解説

共同地[中世ヨーロッパ]
きょうどうち[ちゅうせいヨーロッパ]
common

共同利用のための村落付属地。共有地とも訳される。牧草地,森林,沼沢,荒蕪地を含み,その用益権の持分が農民保有地とともにフーフェ (農民の権利) を構成。近代初期以来,領主による共同地利用権への侵害がしばしば起り,ドイツ農民戦争の一因ともなった。 19世紀の農民解放期に分割され解体。

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