改訂新版 世界大百科事典 「共同所有」の意味・わかりやすい解説
共同所有 (きょうどうしょゆう)
数人または多数人が共同で同一物を所有することで,共有,合有,総有の三つがある。共有は,一般に,偶発的・暫定的な共同所有であることから,団体的制約が最も少なく,各人は所有権を数量的に分有し,自由にその持分権の処分ができ,原則としていつでも目的物の分割請求ができる。これに対し,総有は,入会地の地盤が村落団体に属する場合のように継続的・恒久的な共同所有であることから,団体的制約が最も強く,各人は,その属する団体が定める規約・慣習に従って目的物の使用収益ができるだけで,管理処分はすべて団体の権能とされる。このように,総有では,所有権が質的に分有される結果,各人には持分権がなく,目的物の分割請求もできない。合有は,以上二つの中間に位し,各人は持分権をもつが,共同目的による拘束があって,持分権の処分や目的物の分割請求が制限・否定される。なお,会社などの法人の所有は,実質的には共同所有であるが,法律的には個人所有と変わらない。
→共有 →合有 →総有
執筆者:玉田 弘毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報