マルテンス(読み)まるてんす(その他表記)Adolf Martens

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルテンス」の意味・わかりやすい解説

マルテンス
まるてんす
Adolf Martens
(1850―1914)

ドイツ鉄鋼の科学者。プロイセン国有鉄道に入り、鉄鋼の材質調査を担当する。未開拓の分野であった顕微鏡による金属の微小組織の研究に着目した。顕微鏡と研摩腐食の技法を仕上げ、鋳鉄と鋼の内部に規則的に配列された組織の観察に成功し、1878年に発表した。これらの組織が化学分析と対応することを明らかにし、鉄鋼の顕微鏡研究を実用化した。鉄鋼の顕微鏡組織はすでにイギリスソルビーによって発見されていたが、マルテンスがその実用性を明らかにしたのである。

中沢護人

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルテンス」の意味・わかりやすい解説

マルテンス
Martens,Georg Friedrich von

[生]1756.2.22. ハンブルク
[没]1821.2.21. フランクフルト・アム・マイン
ドイツの法学者。ゲッティンゲン大学で法学を学ぶ。 1783年から同大学教授。 1816年からはハノーファー派遣の連邦議会使節。 J.モーザーよりも体系的・学問的に実定国際法論を展開した。そのなかで一般実定国際法が存在しうるかという問題をも検討している。さらに国際条約などの集成にも取組み,たとえば『マルテンス条約集』は,彼の死後も他の国際法学者により編集が続けられた。主著『現代ヨーロッパ国際法概論』 Précis du droit des gens moderne de l'Europe (1789) 。

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