ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モーザー」の意味・わかりやすい解説
モーザー
Moser, Edvard I.
ノルウェーの神経科学者。ノルウェーの西海岸で育ち,1980年代初め,オスロ大学で数学,統計学,プログラミングを学んだ。1985年,同大学の学生(→モーザー)と結婚。1990年に心理学と神経生物学の学位を取得後,妻のマイ=ブリットとともにオスロ大学大学院に進み,脳の神経活動の研究に携わり,1995年に博士号を取得。イギリスのエディンバラ大学を経てロンドン大学のジョン・オキーフ研究室で博士研究員を務め,ノルウェー科学技術大学 NTNUに移る。1998年 NTNUの教授に就任。その後,NTNUカブリ・システム神経科学研究所の所長に就任。オキーフが発見した脳の海馬にある「場所細胞」がどうして位置を認知できるのか。この問題を解決するため,妻とともに NTNUの研究室で海馬に情報を送っている嗅内皮質のニューロン(神経細胞)の活動を微小電極法で調べ始めた。オキーフの実験よりも大きな箱を使い自由に活動するラットを調べたところ,嗅内皮質のニューロンは部屋のあちこちで活動した。データを重ねてみると,ラットが箱に敷きつめられた正三角形格子の頂点にいると,ニューロンが活動していることがわかった。嗅内皮質に格子で表現した外部のミニモデルがあったということになる。二人はこの嗅内皮質のニューロンを「グリッド細胞(格子細胞)」と名づけて 2005年に発表した。2014年,脳内で空間の位置認識システムを構成する細胞を発見した功績により,二人はオキーフとともにノーベル生理学・医学賞を受賞した。
モーザー
Moser, May-Britt
ノルウェーの神経科学者。ノルウェー西部の農場で育ち,1980年代初め,オスロ大学で数学,神経細胞学,心理学などを学んだ。1985年,同大学で学ぶエドワルド・I.モーザーと結婚。夫とともにオスロ大学大学院に進み,脳と行動の関連性を研究,1995年に博士号を取得。イギリスのエディンバラ大学を経てロンドン大学のジョン・オキーフ研究室で博士研究員を務め,ノルウェー科学技術大学 NTNUに移る。2000年 NTNU教授に就任。その後,NTNU神経計算センターの所長に就任。オキーフが発見した脳の海馬にある「場所細胞」がどうして位置を認知できるのか。この問題を解決するため,夫とともに NTNUの研究室で海馬に情報を送っている嗅内皮質のニューロン(神経細胞)の活動を微小電極法で調べ始めた。オキーフの実験よりも大きな箱を使い自由に活動するラットを調べたところ,嗅内皮質のニューロンは部屋のあちこちで活動した。データを重ねてみると,ラットが箱に敷きつめられた正三角形格子の頂点にいると,ニューロンが活動していることがわかった。嗅内皮質に格子で表現した外部のミニモデルがあったということになる。二人はこの嗅内皮質のニューロンを「グリッド細胞(格子細胞)」と名づけて 2005年に発表した。2014年,脳内で空間の位置認識システムを構成する細胞を発見した功績により,二人はオキーフとともにノーベル生理学・医学賞を受賞した。
モーザー
Moser, Johann Jacob
[没]1785.9.30. シュツットガルト
ドイツの法学者。 1720年テュービンゲン大学員外教授,36~39年フランクフルト大学学長。ドイツ,オーストリア各地で諸州政府顧問を歴任するかたわら,国際法,国法 (特に憲法) の研究に専心した。ドイツ法の資料収集に努め「ドイツ国法学の父」と呼ばれる一方,実証的な国際法体系の完成にも尽力した。主著『ドイツ国法』 Teutsches Staatsrecht (50巻,1737~54) ,『新ドイツ国法』 Neues Teutsches Staatsrecht (20巻,66~75) ,『最新ヨーロッパ国際法試論』 Versuch des neuesten europäischen Völkerrechts (10巻,77~80) 。
モーザー
Moser, Karl
[没]1936.2.28. チューリヒ?
スイスの建築家。チューリヒ工科大学とフランスのエコール・デ・ボザールで修業。 R.クルイエルと共同でカルルスルーエで建築事務所を経営し (1888~1915) ,鉄筋コンクリートを用いながら,多様な歴史的様式を自由に駆使した建物を設計した。 1914年チューリヒ工科大学で学位を得,以後同大学教授としてスイスの近代建築の育成に努めた。 1930~32年近代建築国際会議 CIAMの初代議長。代表作バーゼルの聖アントニウス教会 (1925~31) 。息子ウェルナーも建築家として有名。
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