マレック病 (マレックびょう)
Marek's disease
マレック病ウイルスの感染によって鳥類に起こる腫瘍性の伝染病。末梢神経,主として目の虹彩,生殖腺,筋肉,皮膚に単核細胞の浸潤がみられる。ニワトリでの感染は孵化(ふか)後1週間以内であり,いったん感染すると終生ウイルスを排出する。マレック病の発病は主として若いニワトリでみられ,多発年齢は6~24週であるが,潜伏期はまちまちである。症状は末梢神経の損傷の程度によって,部分的または完全な麻痺が起こる。麻痺はとくに翼と脚に好発し,一側かまたは両側性に起こる。目に変化が起こると虹彩は灰色となり失明する。致死率は急性のものでは30%にも達する。この病気の診断は病気の発生状況と病理所見を加味して行われる。予防はワクチン接種があるが,効力には限度があるので,隔離飼育と抗病性品種の選択とが重要な手段とされている。
執筆者:本好 茂一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
マレック病
マレックびょう
Marek's disease
ヘルペスウイルスB群によって起る鶏の病気。定型的マレック病と急性マレック病がある。前者は概して経過が長く,初期症状は脚や翼の麻痺に始って,病勢が進むと体重減少,露出皮膚の蒼白化,下痢などの症状が現れる。剖検上は末梢神経の腫大をみるもの (神経型) や内臓にリンパ様腫瘍を形成するもの (内臓型) がある。後者は 1957年アメリカ,イギリスで 1.5~2ヵ月齢のブロイラーに集団発生したもので,剖検所見では神経病変のほか,特に生殖腺にリンパ様腫瘍の発生する率が高い。治療法はなく,早期発見,早期淘汰による消極的な防疫法がとられている。
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世界大百科事典(旧版)内のマレック病の言及
【癌】より
…皮膚に乳頭腫をつくるDNAウイルスは,ヒト,ウシ,ウマ,ブタ,イヌなどにも広く見いだされている。マレック病と呼ばれるニワトリの伝染性悪性リンパ腫も,DNAウイルスが原因であった。 60年代にエディB.Eddyらは,サルに見いだされたSU40という,サルでは非腫瘍原性のDNA型ウイルスを,新生仔ハムスターに接種すると肉腫を生じることを発見した。…
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