マワシ(読み)まわし

改訂新版 世界大百科事典 「マワシ」の意味・わかりやすい解説

マワシ (まわし)

日本の声楽フシのひとつ。用語としては,謡(うたい)でもっともよく用いられる。回しとも書く。ゴマ点二つあるいは三つ分の音価で詞章の一音節を〈なア〉〈にイ〉などとうたい,かつ,生み字のア,イの部分で音の下降を伴うものをいう。したがって同じようにゴマ点二つ分,あるいはそれ以上の音価をもつものであっても,引キや振リなどは,音の下降を伴わない点で,マワシとははっきり区別される。マワシは,それがどの音階音上にあるか,ヨワ吟かツヨ吟か,〈入〉〈ハル〉などの記号と結合しているかいないか,などにより,実際のうたい方はさまざまに変化し,下降した結果も,出発音より低くなる場合と,下降して出発音に戻る場合とがある。とくにツヨ吟の上音(じようおん)のマワシは,実演上は下降しない。そのほか,中マワシ,消シマワシという特別なマワシがある。

 謡以外では,声明(しようみよう)にマワスという概念をもつ流派がある。これも一様ではないが,ポルタメント(一つの音から次の音へ滑らかに移行するように奏する)でゆっくりと下降する動きをマワスといい,目安博士(めやすばかせ)(博士)では,多く弧線やで示される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マワシ」の意味・わかりやすい解説

まわし

相撲競技において,前部を覆って腰に巻き,腰,腹を固めて力帯 (ちからおび) とする用具。締め込み,褌 (みつ) ともいう。絹繻子 (しゅす) 製で十両以上の力士が着ける取りまわしと,雲斎木綿 (うんさいもめん) または帆木綿製で幕下の力士が着ける稽古まわしの2種類がある。稽古まわしは十両以上の力士でも稽古のときに用いる。また土俵入り専用の化粧まわしもある。長さは普通 10m前後で,これを腰に5~6重に巻き,前部にさがりを着ける。

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世界大百科事典(旧版)内のマワシの言及

【ふんどし(褌)】より

…ニューギニアでは女も締めている地方がある。アマゾン流域の原住民の中には,樹皮をちょうど相撲取りのまわしのように,分厚くぐるぐる巻きにした異様に大きなふんどしをしている種族がいる。性器を誇張するとともに,敵を脅かすという意味あいも含まれるようだ。…

※「マワシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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