改訂新版 世界大百科事典 「マールワ」の意味・わかりやすい解説
マールワ
Mālwa
インド中西部,マディヤ・プラデーシュ州南西端一帯の地方名。古名マーラバMālava。その範囲は歴史的にも一定しないが,ビンディヤ山脈とその北麓に広がるデカン高原の前山部を指す。標高400~600mの台地からなる。北はほぼ北緯23°30′までをいうが,南はナルマダー川の河谷平野を含ませる場合もある。黒色綿花土に覆われた肥沃な農業地帯で雑穀,綿花,小麦などの産が多い。ガンガー(ガンジス)川中・上流域とアラビア海およびデカン高原とを結ぶ幹線交通路が走り,とくに古代・中世史において重要な役割を果たした。前6~前5世紀の十六大国併存時代には,ウッジャインを根拠地とするアバンティ国がその一つを構成していた。以後6世紀のグプタ朝末期まで諸王朝の争奪地,重要所領となった。10世紀ころからラージプート族の,また13世紀にはムスリム勢力の進出があり,1401-1531年には,ここを中心に独自のムスリム王国が成立した。ムガル帝国領となった後,18~19世紀にはマラーター諸族間の抗争の地となった。英領下には多数のヒンドゥー藩王国が分立した。
執筆者:応地 利明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報