日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミショット」の意味・わかりやすい解説
ミショット
みしょっと
Albert Edward Michotte
(1881―1965)
ベルギーの心理学者。ブリュッセルの生まれ。1900年ルーバン大学においてメルシエDésiré Félicien François Joseph Mercier(1851―1926)のもとで哲学、科学、生理学で博士号をとり、1905年から1956年までルーバン大学に勤める。その間、1905年から1908年にかけてドイツに留学、W・ブント、キュルペについて心理学を学ぶ。生涯を通して知覚に関心をもち、ことに第一次世界大戦後はゲシュタルト心理学に興味をもち、知覚の土台にある運動や時間のゲシュタルトGestalt(形)の発達を研究していたが、1939年以後は物理的因果の知覚の研究を始め、世界の注目を集めた。二つの対象が衝突して一方が他方を動かす種々の状況を設定し、因果の知覚が色や音と同じように直接経験されるもので、経験を解釈したものではないと主張した。著書に『La perception de la causalité(因果の知覚)』(1946)などがある。
[宇津木保]