キュルペ(読み)きゅるぺ(英語表記)Oswald Külpe

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キュルペ」の意味・わかりやすい解説

キュルペ
きゅるぺ
Oswald Külpe
(1862―1915)

ドイツの心理学者。ロシア領のカルダウに生まれる。実験心理学者であるW・ブント弟子で、その助手でもあった。ウュルツブルク大学在職中に心理学実験室をつくり、組織的実験的内観法による思考過程の研究を行い、思考過程のような高等の心的過程は実験室では研究できないと考えたブントに反対して、ウュルツブルク学派をたてた。彼らの研究によって思考過程は大部分が心像のない、非連合的な、方向のある有意味の過程であることがわかった。たとえば、アッハNarziss Kasper Ach(1871―1946)の決定傾向あるいは識態の研究は、実験者の与えた課題の教示によって被験者が意識しないのに、一定の反応傾向が生じることを示した。彼の弟子にはアッハのほかに、メッサーAugust Messer(1867―1937)、ビューラーなどがいる。

[宇津木保]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キュルペ」の意味・わかりやすい解説

キュルペ
Külpe, Oswald

[生]1862.8.3. ラトビア,カンダバ
[没]1915.12.30. ミュンヘン
ドイツの心理学者,哲学者。ライプチヒ大学で W.ブントのもとで助手,講師をつとめたあと,ウュルツブルク大学教授。思考,意志などの高等精神作用の実験的研究という新しい分野を開拓した。ウュルツブルク学派の創始者。哲学的立場批判的実在論実験美学提唱主著『心理学講義』 Vorlesungen über Psychologie (1920) 。

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