ムカシウミヘビ(読み)むかしうみへび(その他表記)New Guinea worm eel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムカシウミヘビ」の意味・わかりやすい解説

ムカシウミヘビ
むかしうみへび / 昔海蛇
New Guinea worm eel
[学] Neenchelys daedalus

硬骨魚綱ウナギ目ウミヘビ科に属する海水魚。駿河(するが)湾、ニューギニア島沿岸、バンダ海に分布する。体はきわめて細長く、後方に向かって細くなり、尾端でとがる。体は前半部ではほとんど円筒形で、後半部で側扁(そくへん)する。肛門(こうもん)は体の前3分の1付近に位置する。尾部は著しく長く、頭部は比較的長い。吻(ふん)は長く、前端はとがる。目はむしろ小さく、円形。前鼻孔(ぜんびこう)は管状で、吻端近くの側面に開口する。後鼻孔は裂孔状で、目の直前の上唇の上方の側方にある。口は大きく、その後端は目の後縁下より後方まで伸びる。鰓孔(さいこう)は胸びれの基部の前に垂直に開き、目よりわずかに大きい。前上顎骨(ぜんじょうがくこつ)に数本の小円錐歯(えんすいし)があり、ところどころで対(つい)になる。主上顎骨には6~8本、下顎には17~18本の円錐歯が並ぶ。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)にはおよそ10本の円錐歯が1列に並ぶ。鱗(うろこ)はない。背びれ躯幹(くかん)部(胴部)の中間の上方から、臀(しり)びれは肛門直後から始まり、後方に伸びて尾びれにつながる。背びれは臀びれより短く、尾びれは著しく短い。胸びれはよく発達する。体は一様に淡褐色。尾部のおよそ後方5分の1の縁辺とその部分の背びれと臀びれは黒く、胸びれは淡い。全長は60センチメートルほどになる。ニューギニア島沖では水深140メートルから、駿河湾では水深1400メートルから中層トロールでとれている。このことから底層から離れて、中層に適応したウミヘビ類であると考えられる。食用価値はほとんどない。

[尼岡邦夫 2019年11月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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