ムーサ(その他表記)Mousa

デジタル大辞泉 「ムーサ」の意味・読み・例文・類語

ムーサ(Mūsa)

ミューズ

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精選版 日本国語大辞典 「ムーサ」の意味・読み・例文・類語

ムーサ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ギリシア語] Mūsa ) ⇒ミューズ

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改訂新版 世界大百科事典 「ムーサ」の意味・わかりやすい解説

ムーサ
Mousa

ギリシア神話の,詩歌,文芸,音楽,舞踊,学問の女神。複数形はムーサイMousai。英語ではミューズMuseといい,music(〈音楽〉),museum(〈博物館,美術館〉)の語源。その人数についてはさまざまの伝承があるが,一般にはヘシオドスの《神統記》に従い,ゼウスムネモシュネ(〈記憶〉)を両親としてオリュンポス山麓のピエリアPieriaで生まれた9人の女神とされる。彼女たちはアポロンサテュロスの笛の名手マルシュアスMarsyasの音楽競技の審判役をつとめたほか,彼女たちに技競べを挑んだトラキア地方の音楽家タミュリスThamyrisを負かして,その視力と音楽の技を奪ったなどと伝えられるが,固有の神話は少ない。崇拝の中心地はピエリアとボイオティア地方のヘリコンHelikōn山で,ヘリコン山にあるニンフのアガニッペAganippēの泉と天馬ペガソスひづめが打ったあとから湧き出たというヒッポクレネHippokrēnēの泉は,詩人の霊泉として有名であった。のち帝政期のローマで彼女たちのおのおのに職掌とする領域が定められ,だいたいのところ,カリオペKalliopē(ラテン名Calliope)は叙事詩クレイオKleiō(ラテン名クリオClio)は歴史,エウテルペEuterpēは抒情詩,タレイアThaleia(ラテン名タリアThalia)は喜劇メルポメネMerpomenēは悲劇テルプシコレTerpsichorēは合唱歌舞,エラトEratōは独唱歌,ポリュヒュムニアポリュムニアPolyhymniaPolymnia)は賛歌ウラニアUraniaは天文をつかさどる。
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百科事典マイペディア 「ムーサ」の意味・わかりやすい解説

ムーサ

ギリシア神話の芸術と学問の女神。複数形ムーサイMousai,英語ではミューズMuse。ヘレオドスによればゼウスと記憶の女神ムネモシュネの娘たち。ローマ帝政期にそのつかさどる分野がほぼ次のように確定した。カリオペ(叙事詩),クレイオ(歴史),エウテルペ(抒情詩),タレイア(喜劇),メルポメネ(悲劇),テルプシコレ(歌舞合唱),ウラニア(天文),エラト(独唱歌),ポリュヒュムニア(賛歌)。崇拝の中心地はヘリコン山,とりわけ同山中のヒッポクレネの泉。
→関連項目音楽ミューズ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムーサ」の意味・わかりやすい解説

ムーサ
むーさ

ミューズ

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世界大百科事典(旧版)内のムーサの言及

【音楽】より

…しかし,西欧の〈音楽〉に関する概念にもそれなりの変遷があった。英語のミュージックmusic,ドイツ語のムジークMusik,フランス語のミュジックmusique,イタリア語のムージカmusicaなどの語の共通の語源とされるのは,ギリシア語の〈ムシケmousikē〉であるが,それはそもそも〈ムーサMousa〉(英語でミューズMuse)として知られる女神たちのつかさどる技芸を意味し,その中には狭義の音芸術のほか,朗誦されるものとしての詩の芸術,舞踊など,リズムによって統合される各種の時間芸術が包含されていた。このように包括的な〈音楽〉の概念は,ヨーロッパ中世においては崩壊し,それに代わって思弁的な学として〈自由七科septem artes liberales〉の中に位置づけられる〈音楽〉と演奏行為を前提として実際に鳴り響く実践的な〈音楽〉の概念が生まれたが,後者は中世からルネサンスにかけてのポリフォニー音楽の発展につれて,しだいにリズム理論,音程理論などを内部に含む精緻な音の構築物へと進化した。…

【音楽】より

…しかし,西欧の〈音楽〉に関する概念にもそれなりの変遷があった。英語のミュージックmusic,ドイツ語のムジークMusik,フランス語のミュジックmusique,イタリア語のムージカmusicaなどの語の共通の語源とされるのは,ギリシア語の〈ムシケmousikē〉であるが,それはそもそも〈ムーサMousa〉(英語でミューズMuse)として知られる女神たちのつかさどる技芸を意味し,その中には狭義の音芸術のほか,朗誦されるものとしての詩の芸術,舞踊など,リズムによって統合される各種の時間芸術が包含されていた。このように包括的な〈音楽〉の概念は,ヨーロッパ中世においては崩壊し,それに代わって思弁的な学として〈自由七科septem artes liberales〉の中に位置づけられる〈音楽〉と演奏行為を前提として実際に鳴り響く実践的な〈音楽〉の概念が生まれたが,後者は中世からルネサンスにかけてのポリフォニー音楽の発展につれて,しだいにリズム理論,音程理論などを内部に含む精緻な音の構築物へと進化した。…

【ムセイオン】より

…古代ギリシアのいわば学堂で,とくにヘレニズム時代アレクサンドリアの学術研究所を指す。ラテン語ではmuseumで,これがそのままヨーロッパ各国語で美術館や博物館を意味する語となったが,古代ギリシアでは美術品収蔵所をムセイオンと呼ぶことはなく(それはピナコテケpinakothēkēといわれた),本来は,学芸や音楽をつかさどる9人の女神ムーサイ(英語のミューズにあたるムーサの複数形)の祠堂の意。その宗教結社の形で学塾が構成された。…

※「ムーサ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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