ギリシア神話の翼をもつ神馬。ヘシオドスは、世界の西の果てオケアノス(大洋)のペガイ(水源)で生まれたためにこの名がつけられたと説明しているが、これはギリシア人が先住民族から受け継いだ名称と考えられている。ポセイドンの胤(たね)を宿していたメドゥサがペルセウスに首をはねられたとき、その切り口からペガソスとクリサオルが生まれ出た。ペガソスは人間の手になる馬銜(はみ)をかませられることはなかったが、泉で水を飲んでいるとき、アテネの神助を得たベレロフォンに捕らえられてその乗馬となった。そして、口から火を吐く山羊(やぎ)の怪獣キマイラや、勇猛なソリモイ人、女戦士アマゾンと戦うベレロフォンを助けた。しかし、ベレロフォンがペガソスを駆って天のゼウスの宮にまで昇ろうとしたとき、ペガソスは傲(おご)れる騎手ベレロフォンを振り落とし、ゼウスのために雷電を運ぶ役目についたとされる。
ペガソスが蹄(ひづめ)で打った所にヒッポクレネ(馬の井)という泉が湧(わ)き出たという伝説は、ムーサイ(詩の女神たち)の住むヘリコン山をはじめ、ギリシア各地に伝わっていた。ローマ時代にはこの天馬は不死のシンボルとされ、今日ペガスス座にその名を残している。
[中務哲郎]
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…白馬がケルト,ゲルマン,その他の社会で神意を知るための占いに用いられたのは,人間も及ばぬ優れた判断力をもつからであろう。天がける馬はときには翼を与えられ(ギリシアのペガソスなど),海に入れば下半身が魚ともなる。人頭馬身の怪獣としてケンタウロスが知られ(古代ギリシアのテッサリアの蛮族が巧みに馬を操り,人馬一体のごとく見えたのを起源とするといわれる),他方,馬頭人身の形もあり(馬頭観音など),馬と人間との強いかかわり合いを示している。…
…このため,ゴルゴンの首を取ってくることを命じられた英雄ペルセウスは,まずグライアイから目を奪ってゴルゴンたちのすみかへの道を聞き出したあと,その目を直視して石化させられないように,鏡に映る姿をたよりに睡眠中の彼女たちに近づき,3姉妹のうちでただひとり不死身ではなかったメドゥーサの首を切り落とした。このとき,海神ポセイドンのたねを宿していたメドゥーサの血から,有翼の天馬ペガソスが生まれた。またメドゥーサの首はのちに女神アテナのアイギス(ヤギ皮楯)の飾りとなったという。…
…しかしそれを拒まれると,彼女は逆に彼が邪恋を寄せたと夫に訴えたため,王は本状持参の者を殺すようにとしたためた手紙を持たせて,彼を王妃の父,小アジアのリュキア王イオバテスIobatēsのもとへ赴かせた。そこでリュキア王は彼に怪獣キマイラ退治を命じたが,ベレロフォンは有翼の神馬ペガソスの助けを得て怪獣を射殺したばかりか,次に命じられたソリュモイ人,アマゾン族の征伐などの難業をも首尾よくなし遂げたので,王女を妻に与えられ,王国の継承者とされた。しかし,のちに彼はペガソスに乗って天に登ろうとしてゼウスの怒りを買い,神馬から振り落とされて不具になったという。…
※「ペガソス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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