日本大百科全書(ニッポニカ) 「メセンブリアンテマム」の意味・わかりやすい解説
メセンブリアンテマム
めせんぶりあんてまむ
[学] Mesembryanthemum
ツルナ科(APG分類:ハマミズナ科)の多肉植物の総称。かつてはメセンブリアンテマム属としてまとめられていたが、いまは約120属約2400種に分類されている。そのため鑑賞用のものをメセンとよび、漢字では女仙と書く。よく知られるリビングストンデージー(ヘラマツバギク)Dorotheanthus bellidiformis N.E.Br.は一年草であるが、これは例外的で、ほとんどは高度に多肉化した葉状円筒形、または球形の葉を対生し、地表に接して群生、または枝を直立させる多年生の多肉植物である。また、ほとんどの種が南アフリカの乾燥地帯に生える。大別して、低く枝を伸ばし群生するランプランサス属Lampranthus、セファロフィラム属Cephalophyllumなどと、枝はあまり伸ばさず、よりいっそう肥大した、三角形、舌形、球形の葉をまとまって密生させるフォーカリア属Faucaria、モニラリア属Monilaria、アロイノプシス属Aloinopsis、コノフィタム属Conophytum、リトープス属Lithopsなどがある。後者は多肉植物のコレクション用として、よく珍重される。またリトープスのように、自生地において付近の石と色・形ともによく似るため、生きている石living stoneまたは石植物stone plantとよばれ、擬態の例に引用されるものもある。花は昼咲きが多いが、なかには、芳香がある夜咲きの種類もある。水はけのよい用土でよく育ち、夏の高温多湿期には、風通しをよくして栽培する。日本では普通、温室かフレームで栽培する。繁殖は実生(みしょう)、挿木、株分けによる。
[長田清一 2021年2月17日]