日本大百科全書(ニッポニカ) 「メナイクモス」の意味・わかりやすい解説
メナイクモス
めないくもす
Menaikhmos
生没年不詳。古代ギリシアの数学者。エウドクソスの門人で、幾何学の完成に尽くした一人。当時、いわゆる三大問題(任意の角の三等分の作図、与えられた立方体の2倍の体積をもつ立方体の作図、与えられた円と同面積の正方形の作図)を定規(直線)とコンパス(円)のみで解くことの困難さが明らかとなり、数学者は直線と円以外の曲線に目を向け始めていた。そうした風潮のなかでメナイクモスは、数学史上に初めて円錐(えんすい)曲線を登場させた。ここにいう円錐曲線とは、直円錐を一つの平面で切ったときその切り口に現れる曲線をさすが、彼は、頂角がそれぞれ鋭角、直角、鈍角の3種の直円錐を考え、それぞれをその一つの母線に垂直な平面で切断することによって、鋭角のとき楕円(だえん)、直角のとき放物線、鈍角のとき双曲線を得た。その後アポロニオスは任意の円錐から切り口の角度を変えることで三つの円錐曲線を得た。
[平田 寛]