日本大百科全書(ニッポニカ) 「メナダ」の意味・わかりやすい解説
メナダ
めなだ / 目奈陀
赤目魚
redlip mullet
[学] Chelon haematocheilus
硬骨魚綱ボラ目ボラ科に属する海水魚。西日本ではシュクチ(朱口)、スクチ、全国的に幼魚または成魚をアカメ、和歌山県ではメアカとよぶ。また、ときにはボラと混称される。ボラに似ているが目の上に薄くて軟らかい膜が発達しないこと、上顎(じょうがく)の後端はカギ状に下方に曲がり、口角部よりも後方へ伸びること、相対的に体が細長いこと、唇はやや赤みを帯びること、大形で全長1メートルにもなることなどで区別される。
ボラのように成長により呼び名が変わり、一年魚をコスリ、二~三年魚をトウブシ、それより老成魚をメナダという。北海道以南の日本各地、中国、朝鮮半島~沿海地方まで分布しているが、ボラよりも低温に強く、本州の南部よりも中部に多い。ボラと同じく内湾や入り江、河口などにいて、底の珪藻(けいそう)類やデトリタス(生物の破片、死骸(がい)、排泄(はいせつ)物などの粒状物およびそれらの分解物)を食べる。ボラが泥地にいるのに対し砂地を好む。ほとんど浅海域で生活し、ボラのように大きな回遊をしない。雌雄ともに満3歳、体長30センチメートル前後で成熟し、4~5月ごろに産卵する。孵化(ふか)仔魚(しぎょ)は全長2.5ミリメートル前後である。塩焼き、洗い、鍋物などにする。肉はボラより脂肪が多い。ボラと同様に成熟した卵巣からからすみをつくる。
[落合 明・尼岡邦夫]