メナダ(その他表記)Liza haematocheila

改訂新版 世界大百科事典 「メナダ」の意味・わかりやすい解説

メナダ
Liza haematocheila

スズキ目ボラ科の汽水魚。ボラと似ているが眼が頭の先のほうへ寄り,脂瞼しけん)が発達しない。口唇および眼が赤みを帯びるのでシクチシュクチ(大阪,和歌山,広島,岡山,熊本),スクチ(高知,和歌山),ヒクチ(広島),アカメ(石川,富山八郎潟,男鹿,和歌山,佐賀,玄海,下関),メアカ(和歌山)などと呼ばれる。種小名のhaematocheilaは血色の唇のことで,英名もredlip mulletである。ボラほど一般的ではないが,メナダも成長とともに名まえが変わる。当歳魚(全長10~15cm)がコスリ,1~2歳(20~30cm)がトウブシ,3歳以上(30cm以上)をメナダという。北海道,東北,北陸,鹿児島ではボラとメナダを混称してボラと呼ぶ。日本各地の沿岸に見られるが沖縄にはいない。太平洋ではボラが多いが日本海ではメナダが多い。ボラより大きくなり全長1mに達する。産卵期は中部地方から北では9~10月だが,高知,和歌山では1~3月。ふだんは近海に散在し,8~9月ころから真水の混じる内湾,河口域に進入して群泳する。ボラとは逆に夏美味とされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メナダ」の意味・わかりやすい解説

メナダ
めなだ / 目奈陀
赤目魚
redlip mullet
[学] Chelon haematocheilus

硬骨魚綱ボラ目ボラ科に属する海水魚。西日本ではシュクチ(朱口)、スクチ、全国的に幼魚または成魚をアカメ、和歌山県ではメアカとよぶ。また、ときにはボラと混称される。ボラに似ているが目の上に薄くて軟らかい膜が発達しないこと、上顎(じょうがく)の後端はカギ状に下方に曲がり、口角部よりも後方へ伸びること、相対的に体が細長いこと、唇はやや赤みを帯びること、大形で全長1メートルにもなることなどで区別される。

 ボラのように成長により呼び名が変わり、一年魚をコスリ、二~三年魚をトウブシ、それより老成魚をメナダという。北海道以南の日本各地、中国、朝鮮半島~沿海地方まで分布しているが、ボラよりも低温に強く、本州の南部よりも中部に多い。ボラと同じく内湾や入り江、河口などにいて、底の珪藻(けいそう)類やデトリタス(生物の破片、死骸(がい)、排泄(はいせつ)物などの粒状物およびそれらの分解物)を食べる。ボラが泥地にいるのに対し砂地を好む。ほとんど浅海域で生活し、ボラのように大きな回遊をしない。雌雄ともに満3歳、体長30センチメートル前後で成熟し、4~5月ごろに産卵する。孵化(ふか)仔魚(しぎょ)は全長2.5ミリメートル前後である。塩焼き、洗い、鍋物などにする。肉はボラより脂肪が多い。ボラと同様に成熟した卵巣からからすみをつくる。

[落合 明・尼岡邦夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メナダ」の意味・わかりやすい解説

メナダ
Chelon haematocheilus

ボラ目ボラ科の魚。全長 70cm内外。体はやや細長く,背側が直線的で腹方がやや丸みをもってふくらむ。全体としてボラに似るが,眼に脂瞼(しけん)が未発達である点で区別され,ボラより冷水を好むという。体の背面,体側は青く,濃青色の縦帯が各鱗に沿って走る。腹面は銀白色。口唇はやや赤みがかる。北海道から九州およびアムール川河口から朝鮮半島を経て中国のシヤメン(厦門。アモイ)まで分布する。食用とされ,卵巣から高級食品のからすみをつくる。

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百科事典マイペディア 「メナダ」の意味・わかりやすい解説

メナダ

ボラ科の魚。地方名ミョウゲツ,シュクチなど。全長1mに達する。ボラに比べて頭がやや小さく,眼には脂瞼が発達しない。背面は青緑色,口唇はやや赤みを帯びる。日本各地の沿岸に分布し,北海道ではボラより多い。ボラとは逆に夏美味。

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