メルデの実験(読み)メルデのじっけん

改訂新版 世界大百科事典 「メルデの実験」の意味・わかりやすい解説

メルデの実験 (メルデのじっけん)

音叉振動数を決めるのに用いられる方法。名は音叉の実験を行ったフランスのメルデFranz Emile Melde(1832-1901)にちなむ。図のように弦の一端を音叉に固定し,その他端滑車を介しておもりを取りつけ張力をかける。音叉を振動させておいて弦の長さと張力とを調整すると,弦の振動数が音叉の振動数の1/2になるところで共鳴によって弦は激しく振動する。弦の振動数νは,張力T,弦の長さlおよび単位長さ当りの質量ρから計算によって,と求まるので,これから音叉の振動数がわかる。この現象ブランコの運動と同じ機構によるもので,外からのエネルギーによって振動の成長が起こる一方式であって,一般にパラメーター励振と呼ばれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メルデの実験」の意味・わかりやすい解説

メルデの実験
メルデのじっけん
Melde's experiment

弦の振動を調べる実験。 1859年 E.メルデにより行われた。音叉の脚の1つに糸をつけ,その他端は固定したものに結びつけ,糸を十分に張っておく。糸の長さと張力を適当に調節して音叉を振動させると,音叉の振動と糸の振動が共鳴を起し,両端を固定された糸に沿って定在波がみられる。音叉の脚の振動方向を糸の方向にすると,糸の振動数が音叉の振動数の半分のときに共鳴が起り,また音叉の脚の振動方向を糸の方向と直角にすると,糸の振動数が音叉の振動数に等しいときに共鳴し,定在波が観測される。

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