音叉(読み)オンサ(その他表記)tuning fork

翻訳|tuning fork

デジタル大辞泉 「音叉」の意味・読み・例文・類語

おん‐さ【音×叉】

たたくと一定振動数の音を発生する音響器で、均質な鋼をU字形に曲げ中央に柄を付けたもの。楽器調律や音の実験などに使われる。

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精選版 日本国語大辞典 「音叉」の意味・読み・例文・類語

おん‐さ【音叉】

  1. 〘 名詞 〙 発音体一種。均質の細長い鋼鉄棒をU字形に曲げ、湾曲部に柄をつけたもの。またはそれを木製共鳴箱にとりつけたもの。先端を軽くたたくと一定振動数の基本振動が起こり、純音を発生する。標準音源として音の実験的研究、楽器の調律などに利用。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「音叉」の意味・わかりやすい解説

音叉
おんさ
tuning fork

純音を発生させるための簡単な音響機器で、U字形の鋼鉄製の棒に柄(え)を取り付けたもの。その一端をたたくと、湾曲部に二つの節(ふし)(振動の振幅がゼロとなる場所)をもつ横振動をする。したがって、湾曲部での振幅は小さく、柄を手で持っても振動はそれほど妨げられない。これに対して、まっすぐな棒を振動させたときは、二つの節は大きく離れており、中央部の振幅は大きく、ここを持つわけにはいかない。また、まっすぐな棒の横振動の場合、基音と次の上音の振動数の比は1:2.76であるが、音叉では1:6.25と大きく離れている。一般に振動数が高いほど減衰が急激に大きくなるので、音叉の場合、上音はすぐに消えてしまい、基音のみ残り、したがって純音の発生に適している。また基音の振動数に共鳴する箱を音叉に取り付けて用いる場合もある。音叉の振動数は、棒の長さの2乗にほぼ逆比例し、厚さにほぼ比例する。また、音叉用の材料としてはそれの内部での振動の減衰がなるべく小さいものを選ぶのが望ましい。音叉は振動数が安定しているので、ピアノなどの楽器の調律に用いられ、また電気回路と結合した低周波発振器に利用されることがある。

[比企能夫]


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改訂新版 世界大百科事典 「音叉」の意味・わかりやすい解説

音叉 (おんさ)
tuning fork

均質な細長い鋼の棒を中央でU字形に曲げてそこに柄をつけたもの。先端に近い部分をたたくと,決まった周波数の音をかなり長い間発生させることができ,楽器の標準音として用いられることが多い。音叉は多数の固有振動をもっているので,振動の与え方によって発生する音の部分音の構成が変化する。上音の周波数が基本音からはるかに離れているのが特徴で,柔らかいつちで軽くたたくと,基本音成分が多く純音に近い音になるが,堅いつちで強くたたくと上音を多く含んだ音がでる。音を大きくするために木製の共鳴箱を柄の端につけることもある。音叉の音の周波数安定性は,主として温度に関係する。弾性率の温度係数の小さい特殊合金を使えば,周波数の安定した音叉をつくることができるので,時間の標準に用いることができる。音叉時計はその例である。音叉を定常的に振動させるには,電磁作用などが利用される。
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百科事典マイペディア 「音叉」の意味・わかりやすい解説

音叉【おんさ】

均質な細長い鋼棒をU字形に曲げて柄をつけたもの。やわらかいつちで軽くたたくと振動数の安定した純音()を発するので振動数の標準に用いられる(楽器の標準音,音響測定など)。音を大きくするには共鳴箱をつける。電磁的に振動を持続させる電磁音叉,音叉発振器は時間の標準(音叉時計など)に用いられる。
→関連項目標準音

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「音叉」の意味・わかりやすい解説

音叉
おんさ
tuning fork

細長い均質の鋼棒をU字形に曲げ,湾曲部に柄をつけたもの。先端をたたくと,完全な正弦波である音波すなわち純音を発生する。その音の周波数は安定しており,持続時間が比較的長いため,楽器や音響測定の周波数標準に用いられる。振動に際して,図に示したように湾曲部に2つの節ができる。先端部は互いに離れたり近づいたりして振動する。柄のついている湾曲部の振幅は小さい。したがって,柄を手で持っても,音叉の振動は妨げられないという特徴がある。

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世界大百科事典(旧版)内の音叉の言及

【調律】より

…補助的に測定器を用いることもある。まずその楽器の音律の基準となる音を音叉または調子笛などによって定めると,同音,オクターブ,完全5度,完全4度,長短3度,長短6度などの協和音程を用いてその響きを判断して順次音階音を整えてゆくのであるが,精度の高い音律を構成することができる。しかし,日本の箏では調弦に不協和な短2度音程も用いるので,このような場合には主観による相違が大きく認められる。…

※「音叉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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