日本大百科全書(ニッポニカ) 「モチツツジ」の意味・わかりやすい解説
モチツツジ
もちつつじ / 黐躑躅
[学] Rhododendron macrosepalum Maxim.
ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の半落葉低木。高さ1~2メートル。若枝は粘毛が多い。葉は互生し、広楕円(こうだえん)形で長さ3~6センチメートル、両端はとがり、質は薄く、両面に毛が多い。5月、新葉と同時に紅紫色花を開く。花冠は漏斗(ろうと)状で5中裂し、径4~6センチメートル、上面に濃紅色の斑点(はんてん)がある。雄しべは5本、まれに6~10本ある。萼片(がくへん)は披針(ひしん)形で大きく、花柄とともに腺毛(せんもう)が多くて粘る。蒴果(さくか)は長卵形で萼片に包まれ、褐色の毛がある。日当りのよい低山地に生え、本州の静岡県以西岡山県南部までと、四国に分布する。名は、萼などがとりもちのように粘るのでいう。園芸品種も多く、庭木として栽培する。本種とヤマツツジとの雑種にミヤコツツジがある。分布域はモチツツジと同地域である。
[小林義雄 2021年5月21日]