モモミヤシ(読み)ももみやし(その他表記)peach palm

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モモミヤシ」の意味・わかりやすい解説

モモミヤシ
ももみやし
peach palm
[学] Bactris gasipaes Kunth
Guilielma gasipaes Bailey

ヤシ科(APG分類:ヤシ科)ココヤシ亜科12種中の1種。コスタリカ、ブラジル、ペルー、ボリビア原産。南アメリカではペジバエpejibayeの名でよばれるが、これはコスタリカの現地語名による。幹は株立ちで高さ10~20メートル、径15~20センチメートル。幹肌に波状環紋の葉痕(ようこん)が残り、節部に黒色の鋭い刺(とげ)がある。葉は披針(ひしん)形で羽状全裂し、長さ1.5メートル。小葉は長さ50センチメートル、上面には葉脈部に黒色の鋭い刺が多数立生する。また、葉柄や肉穂花序の包葉にも無数の鋭い刺がある。雌雄同株で単性花をつける。花は暗紅色で、6本の短い雄しべがあり、芳香が強い。果実は先が鈍くとがる円錐(えんすい)台状の卵形である。果実の表面の色は変異がある。半面が淡黄緑色で他面が桃色・紅色のぼかし、また赤色のものもある。長さは4.5センチメートル、下部は径4センチメートル。種子は細長く、長さ2.5ミリメートル、下部の径2ミリメートルで、上部周囲に1個の胚(はい)の珠孔と、2個の珠孔痕がある。果実は食用に供し、栄養価が高く、風味がよい。煮たり、蒸し焼きにして食する。なお、種子のない果実もある。

 幹は硬質・強靭(きょうじん)なので用材としての利用価値が高く、弓矢棍棒(こんぼう)その他の工芸用にもする。栽培温度は7℃以上。

[佐竹利彦 2019年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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